研究課題/領域番号 |
21K01502
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐藤 隆広 神戸大学, 社会システムイノベーションセンター, 教授 (60320272)
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研究分担者 |
古田 学 愛知学院大学, 経済学部, 准教授 (90804550)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | インド / 内部労働市場 / 日本企業 / 日本型雇用慣行 / ミクロデータ / フィールド調査 |
研究開始時の研究の概要 |
企業や自営業者が労働を需要し、家計が労働を供給し、公共政策や労働法制などの政府介入に影響されながらも、労働市場において賃金を軸にした需給調整がなされる。こうした伝統的であり古典的なメカニズムに加えて、本研究は、会社内部における権威に基づく労働配分の編成にも特段の注意を払う。会社部門はインドの高度成長を支えるリーディングセクターである。この会社部門における労働配分の編成を無視して、インド労働市場の分析を行うことは不十分である。すなわち、本研究は、「市場」と「組織」の両方における労働配分メカニズムをバランスよく考察することで、インド社会における労働市場の長期動向を規定するメカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、ミクロデータとフィールド調査から、インドの労働市場の構造とその変化を分析することを目的としている。本年度の研究実績としては、第1に、代表者が編集をした研究書『経済大国インドの機会と挑戦』(白桃書房、2013年)を出版したことを特記しておきたい。本書では、国際価値連鎖(GVC)に注目して、インドの各産業を様々な視点から分析しているが、そのなかでもインドにおける労働問題にも特段の注意を払っている。第2は、分担研究者との共著論文であるManabu Furuta, Takahiro Sato and Keijiro Otsuka, "Successful Foreign Direct Investment through the Development of Part Supply Industries in the Host Country: A Study of India's Automobile Manufacturing Sector"が査読雑誌であるThe Developing Economiesに掲載が決定された。この論文では、年次工業調査(ASI)のパネルデータを利用して、外資系の完成車メーカーの生産活動がインド国内の自動車部品産業における雇用増加にプラスの貢献をすることを明らかにしている。第3は、全国標本調査(NSS)の雇用失業統計(EUS)と定期労働力調査(PLFS)の個票データから長期的な労働市場の変化を跡付けることが可能なようなデータ整理を行った。第4に、インド現地調査を行い、日系企業からインドにおける人的資源管理(HRM)の詳細な聞き取り調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1は、『経済大国インドの機会と挑戦』という専門書を出版することができ、インドにおける労働問題の一端をインドにおける産業発展という文脈のなかで明らかにすることができた。第2は、定評のある査読雑誌に論文の掲載が決定され、その論文のなかで、多国籍企業の経済活動が川上にいるインド国内の部品サプライヤーにおける雇用にプラスの影響を与えていることを計量経済学における内生性問題に慎重に対応したうえで明らかにすることができた。以上、2点の理由から「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
第1は、NSSのEUSとPLFSのデータ整理を継続して、1980年代から2020年代という長期におけるインドの労働市場の構造とその変化を跡付けることができるような統計資料を作成する。第2は、これまで蓄積してきた、企業に対するヒアリングから得られた洞察を研究ノートのようなかたちでまとめたい。第3は、日本型雇用慣行と企業の生産性に関する実証分析を拡張し、英語論文作成に向けた作業を行う。
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