研究課題/領域番号 |
21K01512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 名城大学 (2022-2023) 名古屋経済大学 (2021) |
研究代表者 |
佐藤 純恵 名城大学, 法学部, 准教授 (70623388)
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研究分担者 |
野村 友和 大阪経済大学, 情報社会学部, 准教授 (30507207)
堀江 進也 尾道市立大学, 経済情報学部, 准教授 (50633468)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 災害 / 教育投資 / 集計問題 / 人的資本の蓄積 / 経済格差 / 所得の下方ショック |
研究開始時の研究の概要 |
近年増加傾向にある災害や今般のパンデミックは、個別世帯の所得への所得階層を下方へ移動するほどのショック(外生的ショック)を与えることがある。このショックの影響は、世代を超えて伝播する可能性があり、福祉政策・災害復興政策が取り組むべき重要課題の1つであると考えられる。本研究は、外生的ショックが、家計による教育投資の減少を通じて世代間の経済格差の再生産し、元の所得階層への復帰を困難にするメカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、家計レベルの所得への「所得階層を下方へ移動するほどの外生的ショック」が、家計による教育投資の減少を通じて世代間の経済格差を再生産し、元の所得階層へ復帰することが困難になるメカニズムを定量的に明らかにすることである。 2023年度は、前年度までに収集した情報の検証に加えて、マクロレベルでの被災経験の教育投資への影響を理論的に分析することを開始した。この中で問題になった、個人レベルでの教育投資とマクロレベルでの教育投資との間での集計問題である。投資額を集計することは可能であるが、投資量の集計を行う上では個人の生産とマクロレベルでの集計との関係を明らかにする必要がある。これはケンブリッジ=ケンブリッジ論争の一角であるが、今年度は、個人レベルでの投資から形成される個別の労働力を中間生産物と捉えることで、生産を2段階に捉え直し、ある種のサプライチェーンとして一連の経済を表現した。このとき近年の労働市場におけるタスクの差異を考慮に入れた異質な教育投資などを反映すると、異質資本が存在するときの集計問題も分析の対象にしなければならない。これについても、サプライチェーンとは異なる枠組みではあるが分析を進めた。異質資本については、コブ=ダグラス型の生産関数を用いる場合については,資本レベルにおける集計と生産関数の集計との両方を行うことができたが、一般形の生産関数を用いる場合においては、異質な資本をひとつの資本として集計することが出来ていない。これらを踏まえると、今後のコブ=ダグラス型生産関数を用いたサプライチェーン経済、ひいては教育投資に関するマクロレベルでの集計は可能であることは予想されるが、一般形に生産関数を用いる場合においてはやや困難が伴うことが予想される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、所得への影響を与える外生的ショックとして災害を取り上げるが、新型コロナウイルス感染症の影響で被災地の現地調査を行う機会が十分になかったため、分析対象とする地域の現地調査が遅れていた。2021年度は熊本県人吉市の水害地域の現地調査及び被災者へのインタビューを行い、2022年度は東日本大震災の被災地域の聞き取り調査を実施することができた。2023年度はアンケート調査の原案までは作成したものの、質問項目のブラッシュアップに時間を要した。このため、実施年度の延長を申請したが、1月に発生した能登地震の被災地での対面型のアンケートをとることも検討している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、これまでに行った現地調査をもとに作成しているアンケート調査のための質問項目のブラッシュアップを8月までに終了し、アンケート調査を実施する。またオンライン上での資料調査も同時に進める予定である。対象地域として、新たに1月に発生した能登地震の被災地を含める可能性がある。 その後、収集されたデータが整理され次第、分析作業を開始する。これらの分析結果をもとに、適宜論文という形にまとめ、国内外の学会において報告する予定である。
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