研究課題/領域番号 |
21K01533
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
松枝 法道 関西学院大学, 経済学部, 教授 (40330394)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | ワクチン予防接種 / 補助金政策 / 応用ゲーム理論 / 感染症 / ワクチン接種 / 助成金 / ゲーム理論 / ワクチン / 制度設計 / 国際協調 |
研究開始時の研究の概要 |
感染症に対する社会的な解決策の目標は、集団免疫を築くことである。特に、感染症に罹患することによって生じうる被害が大きい場合には、安全でありながら抗体の形成に有効なワクチンの開発と普及が果たすべき役割が集団免疫の形成において重要となる。本研究においては、ワクチンの開発と普及を進める上で望ましい公共政策のあり方と制度設計について主にミクロ経済学の分析手法を用いて理論的に考察する。
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研究実績の概要 |
2023年度は昨年度より執筆していた「Strategic Individual Behaviors and the Efficient Vaccination Subsidy」というタイトルの論文を完成させ,国際的な学術誌に投稿した.これは,2022年度に水野敬三(編著)『地域活性化の経済分析:官と民の力を生かす(中央経済社)』の一つの章として公刊した,「季節性インフルエンザのワクチン予防接種に対する公費助成の効率的水準について」という論文のモデルを発展させて,ワクチン接種に対する個人の意思決定において様々な心理的バイアスが存在することが予見される場合に,ワクチン接種に対する個人の金銭的支出額をどのように調整することで,それらのバイアスに対処するべきかを理論的に分析した研究である.バイアスの種類としては,感染症に罹患した場合の被害の重篤性についてのバイアス,ワクチンの副反応の重篤性についてのバイアス,感染症の感染力の大きさについてのバイアスなどを扱い,それぞれのバイアスについて社会的効率的とされる対応が大きくことなることを議論した.この研究における初期の分析結果については,2023年6月にフランス,ニース大学で開かれた行動経済学の中心的な国際学会の年次大会(IAREP 2023)にて報告し,現在は,学術誌からの改訂要求に対する一度目の回答を済ませて,改訂内容に対する審査を受けている最中である. また,上記の研究と並行して,行動ゲーム理論や「Psychological Game Theory」で近年開発の進んでいる分析手法がワクチン接種に対する個人の意思決定とその社会的影響を考察する上で重要であるという認識のもと,個人の間の心理的な関係性に着目した新しい理論研究に着手しており,2024年秋の国際学会において報告できるよう,現在分析を行っているところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学会やワークショップなどで,研究者と交流をする機会も徐々に増え始め,2023年度はニース大学での学会での研究報告や高知大学でのワークショップなどで研究交流をする機会を得て,いただいたフィードバックをもとに論文の改訂作業を進めることができた.その中で新しい分析ツールの活用の意義にも気づかされ,行動ゲーム理論の新しい手法を取り入れたオリジナルな研究を新しい論文として完成させることができた.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も,これまでの研究スタイルを継続したい.より具体的には,行動経済学,さらには社会心理学の知見を積極的に取り入れて,既存のゲーム理論の枠にとらわれない研究を進めることで,実態をより正確に反映したモデルを用いて,個人のワクチン接種とその社会的影響に対する政策的な示唆を得ることに努める. まず第一には,現在学術誌に投稿中の「Strategic Individual Behaviors and the Efficient Vaccination Subsidy」という論文をできるだけ早く公刊出来るよう,学術誌からの改訂要求に丁寧に答えていきたい. それと並行して,新しく執筆を開始した論文を完成させ,2024年度の後半には学会において研究報告を行い,その論文の完成度を高める作業に入る予定である.
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