研究課題/領域番号 |
21K01538
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 財務省財務総合政策研究所(総務研究部) (2022) 信州大学 (2021) |
研究代表者 |
大野 太郎 財務省財務総合政策研究所(総務研究部), 総務研究部, 総括主任研究官 (90609752)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 所得税 / 住民税 / 収入逓増的控除 / 負担軽減効果 / 再分配効果 / 控除 / 税 / 租税支出 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では1990年代以降における所得税・住民税を対象に、所得控除や税額控除などの租税支出による負担軽減効果とその再分配効果について定量的に評価する。まず、家計マイクロ・データを用い、世帯の収入・属性に現実の制度を当てはめて負担額を推計するマイクロ・シミュレーションの手法を適用して、世帯ごとに所得税・住民税額の推計値を構築する。次に、世帯ごとに租税支出による負担軽減額を推計したのち、それが税制の負担構造および再分配効果に与える影響を定量的に評価する。
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研究実績の概要 |
今日、社会保障制度の維持には家計の税負担の見直しが必須であると考えられる中、基幹税である所得税・住民税の再検討も求められている。これらの税制において控除制度のあり方は重要な政策課題の一つであるが、その検討にあたっては控除による負担軽減効果の構造や所得再分配機能への影響についてエビデンスに基づいた実態把握が欠かせない。本研究では家計の個票データ(調査票情報)を用い、調査票に記載された世帯の収入・属性に現実の制度を当てはめて負担額を推計するマイクロ・シミュレーションの手法を適用しながら、1990年代以降における所得税・住民税を対象に、控除の負担軽減効果と再分配効果について定量的に評価する。 2022年度は総務省『全国消費実態調査』(1994~2014年)の個票データを用い、特に収入逓増的な控除、すなわち給与所得控除、公的年金等控除、社会保険料控除に焦点を当てながら、控除の負担軽減効果および再分配効果を明らかにした。高所得層ほど控除の負担軽減効果が大きいが、その背景として特に給与所得控除の収入逓増部分や社会保険料控除の影響が大きい。また、控除は再分配効果の低下に寄与しているが、その背景にはこうした収入逓増部分が再分配効果の低下に寄与しており、収入逓増部分以外は再分配効果の上昇に寄与していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は控除の負担軽減効果と再分配効果について定量的に評価することである。2022年度は『全国消費実態調査』の個票データを用いて、日本の個人所得課税(所得税・住民税)における負担構造や、収入逓増的な控除の負担軽減効果・再分配効果について考察した。その成果は年度内に論文2本を公表し、学会報告1本を行った。
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今後の研究の推進方策 |
税率の概念には主に平均税率と限界税率の2つがあるが、控除の負担軽減効果に関する先行研究では平均税率に焦点が当てられてきた。平均税率は納税者の負担水準を端的に示す指標であるが、その負担額は納税者の所得水準以下で適用される様々な制度的要素を含んでいる。これに対して、限界税率は各所得水準の納税主体が直面する制度的要素をより直接的に反映する。そこで2023年度は平均税率と限界税率の双方の採用し、個人所得課税の負担構造とともに控除の負担軽減効果と再分配効果を詳細に考察する。また、特に給与所得控除に焦点を当て、収入逓増的な控除の効果を定量的に評価する。
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