研究課題/領域番号 |
21K01541
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
新井 泰弘 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (20611213)
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研究分担者 |
河村 耕平 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30787817)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | キャンセル料 / 消費者保護 / 法と経済学 / 消費者保護法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、自立した社会生活を行うことはできるが必ずしも十分な判断力を有しない消費者の保護・救済と、事業者による自由かつ効率的な商活動とのトレードオフが、どのような場合にどのような形で生じ、それが現在の我が国の法制の下でどのようにバランスを取ることが可能かを探り、2018年の消費者契約法改正に対する国会附帯決議(第196回国会閣法第31号)で提起されたような消費者保護・救済の諸問題に対して、経済学の見地から具体的な政策的含意を導出することである
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研究実績の概要 |
昨年に引き続き「消費者の適切な契約取消方法と取消費用の負担割合」と「十全な判断力を有しない消費者が陥りがちな消費トラブルを事前に防ぐための予防制度」を考察するための理論モデルの構築に取り掛かった。また、新井は消費者庁主催の「解約料の実態に関する研究会」に参加し、各事業者団体への聞き取りを行うことで実態調査を行った。実態調査を通じ、「契約の取消」を主眼とした場合に対象となる売買形態や産業の範囲が当初の想定以上に大きいことが判明した。例えば通信販売のように商品を実際に入手する前に代金を支払う形態なのか、直接店舗で購入するときのように商品の入手と代金支払が同時になる形態なのかの違いや、売手のキャパシティ制約や二次的市場の存在(ダフ屋や転売市場)があるか否か、更にはそもそも解約料を完全に回収することができるのかが解約料の設定に大きく影響を与えている。こうした事例に対応する形で各モデルの修正と再分析に取り掛かっている。三つ目の課題である「十全な判断力を有しない消費者の厚生をどのように捉えるべきか」については各種分野における既存文献の整理を行い、現在作成中のモデルと整合性を保つ形で政府の目的関数について引き続き考察を行っている。
本研究に関連して、新井は消費者と生産者との戦略的相互依存関係や、法制度の変化が生産者の戦略に与える影響について分析した論文をHarvard Program on U.S.-Japan Relations Occasional Paper Seriesに出版し、日本国際経済学会関西支部シンポジウムにて報告した。河村は消費者保護と情報伝達の関係について分析した論文をCIRANOカンファレンスで報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述したように、実態調査を行う機会が得られたことによって各事業分野の企業が置かれている状況や、どのようなことに留意しながら解約料を設定しているのかについて知ることができた。この知見を活かすためにモデルの設定の見直しと再分析に時間を要している。 また、新型コロナウイルス感染症の影響から、当初予定していた海外出張・学会報告・研究打合せ等が十分にできなかったことも進捗に影響を与えている。
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今後の研究の推進方策 |
聞き取り調査によって分かった事象をこれまで作成していたモデルに盛り込み分析を行う。研究計画の遅れを取り戻すために、積極的な研究打ち合わせと他の研究者との議論を行い、研究の拡張と結果の普及を試みる。
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