研究課題/領域番号 |
21K01549
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
武内 真美子 愛知学院大学, 経済学部, 教授 (80737742)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 学歴間健康格差 / 女性特有疾患 / 癌サバイバー / 就職氷河期世代支援 / 仕事の質 / 男女間賃金格差 / 夫婦間クロスオーバー効果 / 医療技術 / 多胎児の出産 / 教育ミスマッチ / 新卒女子学生の採用 / 高学歴者の賃金格差 / 高学歴者の雇用格差 / 出産ペナルティ / ナレッジワーカー / 性別職務分離 / 企業業績 / 新卒採用 |
研究開始時の研究の概要 |
企業の高学歴女性の積極的な採用、管理職への登用、勤続年数の上昇などを通じて男女間雇用格差が縮小しているか。また高学歴女性が結婚・出産のライフイベントを通じて、労働生産性(賃金)を極力維持できているか。特に理系の研究職、技術職のような男性優位の専門的職業、および管理的職業分類の中での男女間賃金格差は縮小しているかということを中心に検証する。
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研究実績の概要 |
研究成果として4点挙げる。新卒女子学生の採用比率に関する決定要因を高学歴者、総合職に分けて分析し、女性の勤続年数が長く、海外勤務者比率が高いほど、女子の採用比率が抑制されている。このエビデンスは、企業内の性別職務分離によりもたらされている可能性がある。また、企業業績と女性従業員比率の相関を通じて女子採用比率が高まる。次に、高学歴者の水平および垂直の学歴ミスマッチが賃金格差に与える影響を分析し、男女ともに垂直のミスマッチがより賃金を低下させ、賃金ペナルティは学士取得者に生じており、女性の水平のミスマッチが男性より大きい。また、女性の多胎児の出産に着目した賃金格差についてパネル分析により、一部の分析結果は多胎児の出産が女性賃金を低下させることを示すが、頑強なものではない。また、男性にはペナルティが確認できない。さらに、就職氷河期世代の雇用と賃金について男女ともに大卒者で賃金は低く抑えられている可能性を提示している。 研究実施計画であるパネルデータを使用した男女間賃金格差の検証については、研究支援者の雇用によりパネルデータの加工に着手した。想定している分析手法は家庭内のライフイベントと夫婦の賃金、昇進の関連を検証するものであり、異質性をDID法に近い形でコントロールするものである。さらに、女性活躍推進法施行後の男女間賃金格差の動向について今年度の学会にて報告予定である。 本研究では女性の賃金に与える負の効果として、健康との関連に着目した研究にも着手している。具体的には、国民生活基礎調査匿名データを使用した夫婦の学歴の組み合わせによるクロスオーバー効果を検証、さらに近年増加している女性のがんサバイバーの就労問題、女性管理職の健康と仕事の質について、分析の枠組みを決め、試験的な調査を終え、一部は学会報告済みである。以上により、本研究計画は当初の計画以上に進捗していると報告できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
男女間賃金格差を検証するパネル分析について、データの加工を終えて分析に着手できる状況にある。さらに、女性の健康が賃金、雇用に与える影響に関する研究にも着手している。
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今後の研究の推進方策 |
研究成果をジャーナルの査読、国内学会、研究会、国際学会などで発表を通じて、先生方からのご指導をいただき、改訂する予定である。男女間の賃金、雇用格差について先行研究では着目されていない点を取り上げ実証分析を行いたい。さらに、昇任、昇格、職務内容に踏み込んだ課題を研究対象としたい。
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