研究課題/領域番号 |
21K01551
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
木村 匡子 関西大学, 社会学部, 准教授 (90546730)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 出生率 / 教育 / 人的資本 / 出生行動 |
研究開始時の研究の概要 |
異質な家計がとる出生・教育行動の差異は、次世代の人口構成、経済格差、社会階層の流動性などを通じて、社会・経済に大きな影響を与えるため、その決定メカニズムを解明することには大きな意義があるものと考えられる。本研究においては、家計の属性と出生・教育行動の関係がどのように推移してきたのか実証的に明らかにした上で、その事実と整合的になるよう異質な家計から構成されるモデルを構築し、公共政策などの効果を量的に評価する。この研究により、少子化や格差を考えるための新しい知見を提供することを目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度は、高等教育の男女格差の逆転現象に関する研究に注力した。この研究は、経済発展の過程で高等教育の男女格差が逆転する傾向があることを、男女の肉体的能力と子育て負担の差異の存在により説明しようとするものである。具体的には、昨年度収集したデータや検討した分析手法を用いて、動学的一般均衡モデルのカリブレーションおよびシミュレーション分析を進めた。その結果、実際に観察された出生率、男女の大学進学率、経済成長などの長期的な推移をある程度再現することができた。さらに、いくつかの反実仮想実験を行うことで、モデルのメカニズムにおいて鍵となる男女の肉体的差異や頭脳偏向的技術進歩といった要素が、高等教育の男女格差の推移に与えた影響を評価することもできた。こうした研究成果を“Fertility Decline and the Reversal of Gender Education Gap”というタイトルで口頭発表した。 また、“Fertility differential, public policy, and development”という論文が、国際学術雑誌Economics Lettersにアクセプトされた。この研究は、経済発展とともに個人の所得と子ども数の関係が変化し、出生率が変動してきたことを説明する上で、子どもに対する政府の公共政策が重要な役割を果たしたことを示したものである。 加えて、アウトリーチ活動として、市民公開講座で「子育てを経済学で考える」と題した講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高等教育の男女格差の逆転現象に関する研究に進展があったことに加え、個人の所得と子ども数の関係に関する研究が国際学術雑誌に掲載されることが決定した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度行ったシミュレーション分析の結果は、おおむね現実と整合的であるものの齟齬がある部分も残っている。個人の能力分布などに関するモデルの細かい設定を見直し問題点を解決した上で論文にまとめ、国際学術雑誌に投稿する予定である。
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