研究課題/領域番号 |
21K01553
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07050:公共経済および労働経済関連
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研究機関 | 岡山商科大学 |
研究代表者 |
國光 類 岡山商科大学, 経済学部, 准教授 (80737685)
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研究分担者 |
佐々木 昭洋 岡山商科大学, 経済学部, 准教授 (20807713)
熊代 和樹 岡山商科大学, 経済学部, 准教授 (30823124)
三谷 直紀 岡山商科大学, 経済学部, 特任教授 (70219666)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 行動経済学 / ナッジ / 高齢期の就労 / 労働経済学 / 高齢者 / 生涯現役 / 社会参加 / 労働供給 / 高年齢者 |
研究開始時の研究の概要 |
行動経済学の知見に基づくナッジを活用し、高年齢者の就業を促す戦略を策定する。大規模パネルデータをもとに、高年齢期の就業を妨げる心理的バイアスを特定するとともに、政府からの強制とならないように規範的な介入を考える素地を検証する。 実証分析による成果をもとに、実践的な制度設計を目指す。厚生労働省の「生涯現役促進地域連携事業(令和2年度開始分)」に採択された岡山県瀬戸内市との共同で、ナッジ戦略の策定および介入効果の検証を行う。国内外の優良事例等を参考に、行動経済学の理論的裏付けや評価のしやすいアウトプット指標の開発、そして政策効果を検証するためのアウトカム指標の検証を行う。
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研究実績の概要 |
高齢者はヒューリスティックを用いやすく、バイアスを受けやすいことが指摘されている。本研究では、高年齢者の就労参加を促進するために、「介護助手」の名称変更によるリフレーミング効果と、写真の添付による画像優位性効果を検証した。 介護現場では慢性的な人材不足が生じており、高齢者の就業機会として「介護助手」が注目を集めている。しかし、「介護」職は3K(きつい・汚い・危険)などの負の印象が払拭できておらず、「助手」は職位の低さを連想させる。実際には身体介護を行わないにもかかわらず、「介護・助手」とアンカリング(認知バイアス)されることで心理的な参入障壁となっている可能性がある。負の認知バイアスを取り除くことで、介護人材の確保が期待できる。また、高齢者は整理されていない情報を処理することが苦手で、複雑な選択を避ける傾向がある。文字情報よりも画像の方が記憶に残りやすく、求人の効率化が期待できる。 本研究では2種類の求人票を作成し、ランダムに配布した。従来の求人票「介護助手」を見て、詳細情報を閲覧すると回答した者は42.5%であった。そして、名称を変更した求人票「掃除・洗濯・食事の配膳などの補助スタッフ」を見て、詳細を閲覧すると回答した者は44.8%であった。仕事の内容を具体的に明記したことで、求人票の関心度は2.3ポイント上昇した。追加コストをかけなくても、就業のマッチング効率を高める効果が期待できる。 また、画像を添付した求人票を同時に見てもらい、実際に働いてみたいかを質問した。文字情報のみの求人票より、職場の雰囲気が伝わる画像を添付することで、働く意思が増加することが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は新型コロナウイルスの感染拡大により、高齢者を対象とした調査の実施を1年延期した。 2022年度は岡山県瀬戸内市で実施したアンケート調査を基に、複数の視点で分析を行っている。 2023年度は、介護助手のリフレーミング効果および写真の添付による画像優位性の検証を行った。分析結果をもとに学会報告を行ったが、当初の計画より1年遅れいているため「やや遅れいている」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、高齢者の就業を促進するメッセージについて検証を行う予定である。 これまで政府やメディアが発信してきた就業促進のメッセージについて、①利得、②損失回避、③同調性、④社会的規範に分類・整理し、それぞれの反応を検証する。各メッセージに対する当事者としての意識、実行可能性を分析する。 高齢者への就労メッセージを効率化することで、健康増進や介護予防などへの啓発に応用できると期待できる。
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