研究課題/領域番号 |
21K01559
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐藤 愛 神戸大学, 経済経営研究所, ジュニアリサーチフェロー (20813471)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ESG / サステイナブル投資 / 契約理論 / 長期契約 / 短期契約 / Social cost / Unverifiable output / Verifiable output / Length of contracts / Hold-up / Security design / SDGs / ESG(環境・社会・ガバナンス) / 企業経営 / 報酬契約 / 契約の期間 |
研究開始時の研究の概要 |
利潤追求目的の投資と社会的責任遂行目的の投資という二つの投資決定に経営者が直面する状況を考える。その時、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点を取り入れて資産の投資配分を考える投資家が利潤最大化を追求する経営者に社会的責任を遂行する為の投資や努力を行わせる為には、報酬契約を繰り返して交渉するのがいいのか、または最初から長期契約にコミットメントした方がいいのかというインセンティブ問題を分析する。ESG の視点が社会の持続的発展や企業の長期的な存続に不可欠であるとする考え方が最近広まっている中、企業経営者の ESG 投資へのインセンティブを増大させる要因の解明に本研究が寄与することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究課題の革新的学術問いは、経営者に対する報酬契約の期間や報酬のタイミングを変えていく事により、いかにして利潤最大化を追及する経営者に企業の社会的責任を遂行する為の投資や経営努力を行わせるインセンティブを与えるかという事である。 この論文では、報酬契約の契約期間を調整することにより、利潤最大化を追求する経営者に対し社会的責任投資を行うような動機づけを与えられるかという問題を理論的に研究し、インセンティブ契約を伴う長期的な報酬契約とホールドアップを抑制するような短期的な報酬契約を比較考察をした。 その生産に社会的費用を伴うが生産量が観察可能で立証可能なタイプの生産物と、生産量は観察可能だが立証不可能で社会的費用の減少には役立つタイプの生産物があるモデルを想定し、短期もしくは長期の報酬契約のどちらが選択されるかは、生産量が立証可能な生産物が伴う社会的費用を生産量が立証不可能な生産物によりどれだけ減少させられるかということに依存する。社会的費用を大幅に減少させられれば、固定報酬を伴う短期の報酬契約が企業にとって最適な契約となる。そうでない場合は、インセンティブ契約を伴う長期の報酬契約が最適となる。さらに、経営者の交渉力が大きくなるにつれて経営者に短期の報酬契約が提示されやすくなる。 この研究の応用として、企業投資がESG と関連している場合には、どのような時にソーシャル・インパクト・ボンド(social impact bond)やサステイナビリティ・リンク・ボンド(sustainability-linked bond)が伝統的な短期負債よりも選択されやすくなるのかをも考察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画以上に論文は進展し、関連分野の新たな論文の作成にとりかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
この論文に関しては、国際的なセミナーで数回発表をし、多くのコメントを得、それらを反映した。まずはこの論文を海外のレフェリード・ジャーナルに載せる事が最優先だが、経済学のレフェリード・ジャーナルは審査に時間がかかる為、審査期間中は、新たな論文の執筆に集中したい。
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