研究課題/領域番号 |
21K01565
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
|
研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
鷹岡 澄子 成蹊大学, 経営学部, 教授 (10361677)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | クレジット・リスク / 労働市場の摩擦 / 社債 / クレジット・スプレッド / 期間構造 / CDS / クレジットリスク / 企業の市場性資金調達 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、労働市場の摩擦が発行企業のクレジットリスクに与える影響を、クレジットスプレッドの期間構造を考慮して分析する。次に、労働市場の摩擦が、企業の市場性資金調達として社債とシンジケートローン(市場型間接金融)の選択問題に影響を及ぼすのか検証する。本邦社債市場では社債発行と年限選択という2つのセルフセレクションバイアス (i)投資適格以上の格付を有する比較的大企業に限定されるという発行体標本の偏り、(ii)長期債を選択可能な発行体が限定されることによる年限標本の偏り、がある。そのような発行体グループ間での特性の差が労働市場の摩擦に起因しているのかを、日本企業のデータを用いて解明する。
|
研究成果の概要 |
社債発行年限と発行額、社債発行企業のクレジット・リスクを様々な観点から実証分析を行った結果、主に以下の点が分かった。人件費が増加するほど負債に占める銀行融資の割合が大きくなる。これは、先行研究が示唆するように、労働誘発営業レバレッジによって決定されたリスクによって、企業のクレジット・リスクが上昇し市場からの資金調達コストが上昇することが理由として考えられる。ただし、先行研究では、労務債務が日本企業のクレジット・スプレッドの顕著な決定要因かつ上昇要因であることは示されておらず、本稿において、労務債務が日本企業負債選択の重要な要因となることが分かった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の独自性は、日本市場での企業資金調達行動を労働市場の摩擦から解明する点にある。COVID19による景気後退の影響で資金調達をする企業において、社債を大規模に発行する企業と、シンジケートローンで対応する企業があった。労務債務が大きい企業、つまり、賃金への事前コミットメントは企業の利息支払リスクを不況期に更に高めることを考えると、不況期に社債よりも柔軟性のある市場型間接金融を選択する確率は高くなる。本研究成果の社会的意義は、昨今の雇用・労務環境を重視する社会的背景を勘案している点である。学術的意義は、労働市場と企業クレジット・リスク、資金調達選択の新たな関連性を示したことである。
|