研究課題/領域番号 |
21K01577
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
|
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
中村 恒 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (80418649)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 中央銀行準備金 / イールド曲線 / 長期インフレ期待 / 量的緩和・引き締め / マクロ動学一般均衡 / 超低金利、利上げ / 量的緩和.量的引き締め / 衝動・自己制御 / 低金利 / 安全資産不足 / 動学一般均衡 / 資産価格モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、先行研究の多くに見られるニューケインジアンモデルとは対照的に、名目価格硬直性に依存しない形での動学一般均衡モデルにおいて、安全資産不足やドル不足をはじめとする低金利下のマクロ経済問題を解明する.特に、金融摩擦要因(取引費用、デフォルトなど)や非期待効用要因(再帰的効用、曖昧性回避など)を考慮して、超低金利下での資本市場とマクロ経済の相互の影響を数値解析的に解明し、現実の政策評価を行う.
|
研究実績の概要 |
近年、世界経済ではグローバル金融危機・コロナ禍を経て未曾有の長期間の超低金利が経験され、中央銀行の大規模な超過準備金・市場介入が常態化して、中央銀行の大規模な介入なしの自由経済は成立し得ない状況であった.足許では、欧米を中心に利上げや量的引き締めが開始された中、金融危機以前の準備金レベルに回帰する必要があるのかどうか、そうであるとすれば如何に早く回帰させるべきかについて学会や政策当局、市場において大きな議論になっている.実際に.ここ数年の金利の反転上昇や量的引き締めのなかで、物価や雇用市場、金融市場が大きく変動し、中央銀行の金融政策運営は難しい舵取りを強いられている.このような状況下で本研究では、2023年(令和5年)度においてCentral-bank reserve management in a volatile inflation environmentというタイトルの単著論文の初稿ドラフトを完成させた.そこでは、中央銀行準備金に利子が課される状況においてインフレ率の変動が大きい経済環境に注目して、中央銀行の最適な準備金管理の在り方を動学一般均衡モデルのなかで理論的に解明した.特に、リスクテイキングチャネルを通じた金融政策の、均衡イールド曲線や長期インフレ期待への影響を解析的に明らかにした.具体的には、米国の長期データに基づくと平均的に見れば、もし中央銀行の資産購入(売却)がリスクの市場価格を増幅(減衰)させることを通じて長期イールドを引き下げ(引き上げ)るとすれば、実質イールド曲線が右上がりのときであることを示した.また、中央銀行超過準備金は長期インフレ期待を大きく引き上げるリスクを生じさせることも理論的に示した.この研究成果について、国内外の国際学会発表に投稿を開始した.同時に、論文を改善しつつ、研究成果を社会一般に広く発信することも開始した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍において欧米の中央銀行・国際機関での現地調査や海外学会発表の機会が失われたことから、研究計画が遅れた.
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画がコロナ禍で遅れた中で2023年(令和5年)度に研究プロジェクトの初稿ドラフトを完成させ海外国際学会への投稿を開始した状況で、補助事業期間を延長した.そこで、2024年(令和6年)度は、欧米での学会発表・研究討論を行い、研究成果の更なる改善・推進や社会への発信を行いながら、論文の発刊を目指す.
|