研究課題/領域番号 |
21K01586
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
|
研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
神楽岡 優昌 武蔵大学, 経済学部, 教授 (40328927)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 期間構造 / 原油先物 / CDS / Nelson=Siegelモデル / 金利調整済みスプレッド / コンビニエンス・イールド / Nelson-Sieglモデル / スポットレートの期間構造 / イールドカーブ・コントロール / 確率微分方程式 / カルマンフィルター / 金利 / デフォルト強度 / Laguerre 多項式 |
研究開始時の研究の概要 |
国債金利,デリバティブのプレミアム,商品先物のコンビニエンス・イールドなどの期間構造を表現するためにLaguerre多項式を適用し,期間構造の動的な時間発展のモデル化をおこなう.実証研究は3つの異なる金融商品にLaguerre多項式とNelson & Siegelモデルを比較して検証する.1年目に日本国債から推定される無リスク金利の期間構造,2年目にクレジット・デフォルト・スワップから推定されるデフォルト強度の期間構造,3年目に原油先物価格から推定されるコンビニエンス・イールドの期間構造の静的・動的なモデル化と実証分析をおこない,いずれの期間構造にも適用可能なモデルを構築する.
|
研究実績の概要 |
期間構造を持つ全く異なる3つの金融商品の期間構造の価格形成について、理論モデルの構築と実証分析を計画していた。 第1の金融商品は、国債金利であり、日本銀行の金融政策が金利の期間構造に与えた影響について、モデル化と実証分析を完了し、武蔵大学の紀要に公表済みである。 第2の金融商品は、ソブリンを参照エンティティとするクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)である。分析対象とするソブリンは、ヨーロッパのソブリン危機の際にデフォルトには至らなかったものの信用リスクが増大したポルトガル、イタリア、スペインである。第1段階として、満期の異なるCDSプレミアムから還元モデルにおけるデフォルト強度の期間構造の推定を行った。第2段階では、その時間発展のモデル化をおこなった。現在は第3段階で、デフォルト強度の期間構造の時間発展について状態空間モデルを適用して解析中である。最尤法を適用してモデル・パラメターの推定を試みているが、収束解の探索に成功していない。状態空間モデルの推定は初期条件に敏感に依存するため、初期条件を様々に変化させて試行中である。 第3の金融商品は、満期の異なる原油先物の価格であり、原油先物価格から推定される金利調整済みスプレッドの期間構造のモデル化と推定を終了した。現在、その期間構造の時間発展について状態空間モデルを適用して解析中である。最尤法を適用してモデル・パラメターの推定を試みているが、収束解の探索に成功していない。状態空間モデルの推定は初期条件に敏感に依存するため、初期条件を様々に変化させて試行中である。 CDSおよび原油先物ともに、状態空間モデルの推定で手間取っているが、パラメターを網羅的に探索するグリッド・サーチを試みるところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
第1に全く商品特性が異なる金融商品(金利、原油先物、クレジット・デフォルト・スワップ)を研究対象にしたため、分析対象となるデータベースが巨大になり、データベースの収録数値の整合性の検証など、データハンドリングに時間と労力を要した。観測日の周期は、日次、週次、月次の3種類を候補とし、できる限りデータ分析期間が長くなるようにデータ系列を選択した。3つのタイプの金融商品、3種類の周期の全ての組み合わせの実証研究を行っており、分析作業量が膨大になり、当初予定したより、時間と労力を要した。 第2に、金融マーケットで直接観測可能な金利や価格ではなく、価格評価数理モデルから推定される金利調整済みスプレッド(原油先物の場合)やデフォルト強度(CDSの場合)の期間構造を実証分析の対象としたため、推定モデルの選択とモデルの推定に時間と労力を要した。 第3に複雑な状態空間モデルを構築したため、そのモデル・パラメターの推定をおこなうにあたり、モデル・パラメターのファイン・チューニングを要した。検討した状態空間モデルの推定は、初期値に敏感に依存するため、最尤法の局所極小値ではなく、真の最小値を達成するために、トライ・アンド・エラーの作業が膨大になった。 第4に、実証分析結果の妥当性の検証のため、同じモデルの推定プログラムを複数のソフトウエア(MATLAB、R、EViews)で作成した。その作業に時間と労力を要した。 第5に、計画していた最尤法に加えて、ベイズ法の推定プログラムも作成したため、時間と労力を要した。 以上にあるように、当初の計画より、大幅に拡張して、実証分析の推定プログラムの作成と修正をおこなった結果、時間と作業量が増大し、研究の遅延に至った。
|
今後の研究の推進方策 |
CDSのデフォルト強度の実証研究で、状態空間モデルのモデル・パラメターの推定ができればプロジェクトは完了する。状態空間モデルの推定は初期条件に敏感に反応するため、グリッド・サーチにより、様々な初期条件を設定して、パラメターの再推定を試みる予定である。 原油先物の金利調整済みスプレッドの実証研究で、状態空間モデルのモデル・パラメターの推定ができればプロジェクトは完了する。状態空間モデルの推定は初期条件に敏感に反応するため、グリッド・サーチにより、様々な初期条件を設定して、パラメターの再推定を試みる予定である。 デフォルト強度、金利調整済みスプレッドの状態空間モデルは、共通の障害により遅延している。パラメターの再推定をモデル・パラメターのグリッド・サーチにより障害を解決することを期待している。MATLABによる予備分析結果を活用して、状態空間モデルのグリッド・サーチの効率化を計画しており、最適解が推定されることを期待している。
|