研究課題/領域番号 |
21K01587
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
|
研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
慶田 昌之 立正大学, 経済学部, 准教授 (80401199)
|
研究分担者 |
竹田 陽介 上智大学, 経済学部, 教授 (20266068)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 金融政策 / 情報効果 / ESG投資 / マイナス金利 / イールドカーブコントロール / 自然言語処理 / コミュニケーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,日本銀行が次々と講じてきた非伝統的金融政策の諸手段(ゼロ金利・信用緩和・量的質的金融緩和・マイナス金利・イールドカーブコントロール)がもつ効果について検討する.日本銀行の政策は,民間経済主体がその政策を予測すること,専門用語を含む言葉での説明が難解になりがちであることから,効果は非常に複雑である.欧米の学会で議論されている情報効果は,既存の効果とは逆の効果を持ちうる可能性を示している.本研究は,日本銀行の政策の情報効果について,自然言語処理なども用いることで存在の有無を明らかにするものである.
|
研究実績の概要 |
今年度は、石油産業におけるESG投資の影響について研究代表者と共同研究者の共著論文を執筆た。昨年度、学会報告した内容について内容を更新したうえで、"How Loud is a Soft Voice? Effects of positive screening of ESG performance on the Japanese oil companies" というタイトルのRIETI Discussion Paper (24-E-002) として公表した。内容は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、ESGレーティングをパッシブ運用に用いるというアナウンスをしたことが、石油関連企業の株価パフォーマンスに与えた影響をみた。本稿では、石油関連企業のなかでより高いレーティングを持つ企業の株価パフォーマンスが良いことを示しており、GPIFのアナウンスがそれらの企業に良い影響を持ったことを Difference in Differences 分析で示したことが特徴である。 また、金融政策分野についての研究として、研究代表者は「植田新総裁の金融政策の行方」,『日経研月報』(2023年10-11月号)を執筆した。これは、日本銀行総裁の記者会見文書を、自然言語処理の一手法である Latent Dirichlet Allocation を用いたトピック分析を用いて検討したものである。黒田総裁から植田総裁への総裁の交代の時期に政策変更がどのように現れているかについて分析した。白川総裁から黒田総裁への交代時期と比較すると小さな変化であるが、トピックの変化が観察されたことを示している。 2023年度最終盤(2024年3月)に、植田総裁はマイナス金利政策を解除させ、大規模金融緩和政策を変更することを発表した。このような大きな金融政策の変更によって本研究の意義は一層増していると考えられ、本研究の次年度の進め方を慎重に検討したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ESG投資の金融市場にもたらした影響について検討するため、金融政策の情報効果に関する検討が遅れている。昨年度、計画していたデータ「金利先物等商品ティックデータ」の購入を1年先延ばしにしたが、このデータにつき、利用可能性を再検討することとして、再度購入を先延ばしにした。今後の計画に基づいて購入の可否を検討する。
|
今後の研究の推進方策 |
当初計画を進めるに前段階として、ESG投資が金融市場にもたらす影響についての検討をすることを昨年度に引き続き進めてきた。石油産業に特化した分析になるなど、現時点においては十分ではないところがあるものの、一定程度の成果としてまとめることができたことは、本研究プロジェクトの成果である。 これらの結果を踏まえた上で、当初の計画としての金融政策の情報効果について、再度検討する。2023年4月に就任した植田総裁のもとでの金融政策のあり方について、自然言語処理を用いた研究を公表できたことは、一つの成果である。植田総裁は2024年3月はマイナス金利を解除するなど金融政策を大きく変更しており、このような金融政策の変更時期に、どのように情報効果を検証できるかについて検討を進めたい。
|