研究課題/領域番号 |
21K01588
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 名古屋商科大学 |
研究代表者 |
太宰 北斗 名古屋商科大学, 商学部, 教授 (50754909)
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研究分担者 |
顔 菊馨 国士舘大学, 経営学部, 助教 (30869780)
小幡 績 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 准教授 (80345438)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 行動ファイナンス / 資産価格バブル / 株式分割 / セイリアンス / 市場センチメント / 相場操縦 |
研究開始時の研究の概要 |
17世紀のチューリップバブル以来、資産価格のバブル現象はこれまでに数多く観測され、近年でも実社会での影響や関心は高いものとなっている。一方、学術的にはバブルがなぜ発生するのか、明確な答えは見出されていない。本研究では、日本独自の制度上の歪みから生じた「株式分割バブル」を対象に、バブルの発生・膨張の構造を実証的に明らかにしていく。具体的には、(1) 市場の過熱度がバブル膨張に与える影響、(2) 銘柄特性がバブル膨張に与える影響、(3) 分割バブルの発生過程の3点を分析することを目指す。
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研究実績の概要 |
2022年度は、2021年度に公表した論文「株式分割バブル:マーケットセンチメントとバブルの膨張」『慶應経営論集』(第38巻,25-42頁)を発展させる形で、資産価格バブルの膨張度に影響を与える要因について深堀りを行うとともに、本研究の内容を紹介する一般書籍を出版した。 本研究課題では、現実の資産価格バブルのデータから、投資家行動の非合理性などを中心に、バブルがどのように発生・膨張していくのか、その構造や過程を実証的に明らかにすることを目的としている。公表済みの研究はこれに関連して、マーケットセンチメントがいかに投資家の追随的なバブル参加を促したかを検証したものである。なお、研究では1995年から2005年にかけて株式分割を実施した日本の株式銘柄2,197件を対象に、株式分割前後での株価の市場に対する超過収益率の推移を分析している。これを受け、2022年度には、市場センチメントというマーケット要因のほかにも、各銘柄の株式収益率の歪度など、投資家の期待を惹きつける性質を持つ分割銘柄でのバブルの膨張度の差異を検証した。 資産価格バブルは理論的には様々なメカニズムによって生じる可能性が議論されているが、実社会でのデータ収集の制約から、実証的にそのメカニズムを検証する研究は限られているという現状にある。本研究は日本で発生した株式分割バブルのデータを用いることでこの制約をクリアしようと試みるもので、学術的貢献も十分に期待されるものである。 一連の成果については2023年度中に学会発表を行うとともに、論文誌への投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の遂行にあたっては、各社の公表情報をハンドコレクトすることによってデータベースの拡充を図る必要があり、複数の資料より情報収集を行った。ただし、作業量およびアクセス可能なデータ内容等の制約から、予定していたデータの一部を利用できていない。 また当初予定から追加して収集が必要なデータがあるなど、データ統合・調整の作業が発生しており、予定の進捗状況とはなっていない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、(1)市場の過熱度がバブル膨張に与える影響、(2)銘柄特性がバブル膨張に与える影響、(3)分割バブルの発生過程の3点を分析することを目指している。2023年度には、このうち(2)の課題について取り組む予定であり、その成果公表については2023~2024年度を予定している。また、可能な限り(3)の課題への取り組みを進め、当初予定の進捗状況の実現を目指していく。
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