研究課題/領域番号 |
21K01589
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07060:金融およびファイナンス関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
秦 劼 (JieQin) 立命館大学, 経済学部, 教授 (40329751)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 後悔 / 反実仮想 / 後悔理論 / 感情 / 証券投資 / 資産価格評価 / 合理的期待均衡 / 情報効率性 / 市場効率性 / 流動性 / 後悔回避 / 資産価格 |
研究開始時の研究の概要 |
現代ファイナンス理論は期待効用理論を基礎としているため、感情的要素を考慮していない。しかし現実では、「将来に後悔したくない」という後悔回避の心理が投資行動に大きく影響する。本研究は、後悔理論および隣接分野の実証・実験研究の結果に踏まえて、後悔が投資家のポートフォリオ選択と証券市場の均衡に与える影響を考察する。さらに、構築した理論モデルを用いて、家計の貯蓄行動と資産配分を分析する。
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研究実績の概要 |
本年度は、反実仮想が株式市場の均衡に与える影響について考察した。反実仮想とは仮想的な選択(Counterfactual)を実際の選択(Chosen option)とを比較する思考プロセスのことである。反実仮想は後悔などの感情を引き起こし、人々の意思決定に強い影響を与える。例えば、株式を購入した投資家が、不動産価格の上昇を見て、「株式ではなくて、不動産に投資すればよかった」と考えるのが反実仮想の一例である。この場合、不動産投資が仮想的な選択であり、その価格が上昇すればするほど、株式を購入した投資家の後悔が強くなる。後悔を避けようとする後悔回避的な投資家の投資戦略は、リスク・リターン関係上においての最適投資戦略から乖離する場合がある。本研究は、反実仮想を既存の合理的期待形成モデルに取り入れて、反実仮想下のノイジー合理的期待均衡(Noisy Rational Expectation Equilibrium)の存在を証明した。投資家たちの仮想的な投資先の価格変動は、株式の収益に直接影響しないものの、反実仮想に通して株式の投資家達の取引行動に影響する。その結果、仮想的な投資先の価格変動は株式市場にノイズをもたらす。本研究は構築したノイジー合理的期待均衡モデルを用いて、このような現象を理論的に説明した。また、反実仮想が情報効率性と価格の感応度に与える影響などについても分析を行った。これらの分析結果を日本行動経済学会で報告した。一部の結果をまとめた論文は、日本行動経済学会のプリシディンクとして学会誌『行動経済学』に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
後悔を考慮したノイジー合理的期待均衡モデルを構築した。これまでの研究で得られた結果を日本行動経済学会で研究報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後の方針としては、まず、前年度の研究で構築した後悔回避下のノイジー合理的期待均衡モデルを用いて、投資家感情が証券市場の価格形成と情報効率性をより緻密に分析する上で、検証可能なインプリケーションを導出する。これらの分析結果を日本ファイナンス学会などの学会で報告する。結果をまとめた論文を学術誌に投稿する。
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