研究課題/領域番号 |
21K01601
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
小林 延人 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (80723254)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 明治維新 / 経営史 / 金融史 / 鴻池屋善右衛門 / 山廣谷 / 協調融資 / 合弁事業 / 会計基立金 / 新旧公債 / 大名貸 / 公債 / 公債担保金融 / 加島屋久右衛門 / 債権 / 藩債処分 / 明治時代 / 日本経済史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、明治維新期における大坂豪商・鴻池屋山中善右衛門家(鴻善)の経営を藩債処分の過程に即して分析するものである。 鴻善は近世期に大名貸を中心に巨額の資産を築いた大坂の大手両替商で、明治期に入り第十三国立銀行を設立した。同行は、鴻池銀行と改称したのち、合併によって三和銀行となり、現在の三菱UFJ銀行へと系譜的につながる。 ただし、その経営は安定した趨勢をたどったわけではない。とりわけ、明治4年(1871)の廃藩置県によって、藩が一斉に廃止されたとき、鴻善がどのような影響を受けたのか問われるべきであろう。鴻善を事例として、両替商の近代的銀行資本家への転化を可能とした背景を探る。
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研究実績の概要 |
引き続き、明治初期の「山廣谷長平」に関する経営帳簿の分析を中心的に行った。 「山廣谷長平」とは、鴻池屋(山中)善右衛門、加島屋(廣岡)久右衛門、加島屋(長田)作兵衛、という近世大坂を代表する豪商が、明治維新政府からの業務委託を協力して担うために作った屋号=経営体である。これは、複数の経営体が資金を出し合って事業を創始し、人材、場所、設備、そして経理を共有する類の事業であった。現代社会では大規模なインフラ建設を担うために、複数のゼネコンが合弁事業(ジョイントベンチャー)を結成し、作業工程を終了した後にその事業を清算することがあるが、そのような合弁事業を明治維新期に金融業で実現したのが「山廣谷長平」であったと、現時点では考えている。 この事業の始まりにおいてどのような出資がなされたのか、事業の内容や形態、そして事業が清算された理由やその後の鴻池屋善右衛門家の経営について分析を進めた。撮影分の整理はまだ終えていないが、この分析をもとに学会報告および論文執筆の準備を行っている。 特に本年度は、山廣谷の帳簿分析を進め、「算用帳」「貸附帳」「大福帳」「当座帳」など諸帳簿の個別的な分析と、それら相互の関係の考察を行い、おおよその経営の全体像を把握することができた。①大名貸によって発展した複数商家による協調融資の枠組みが、明治維新期にどのように変質したのか、②大名貸に特化した鴻善が、廃藩置県前後にどのように新しい業態を模索したのか、を論じる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全体として分析は順調に進んでいるものの、今年度において研究成果の公表はできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
『鴻池善右衛門家文書』のなかにある「山廣谷長平」の帳簿については、おおよそ撮影は完了している。前年度に掲げた「山廣谷長平」や鴻善にかかわる先行研究の整理も、今年度着手した。 テーマとしては、引き続き①公債担保金融の萌芽的な展開、②明治初期における複数の豪商による協業、を設定しながら、学会報告および学術雑誌・書籍などにおいて研究成果を公開することを、最終年度である次年度の課題とする。
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