研究課題/領域番号 |
21K01609
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
結城 武延 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (80613679)
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研究分担者 |
平野 恭平 甲南大学, 経営学部, 教授 (10509847)
酒井 健 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 准教授 (60757061)
小林 延人 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (80723254)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 日本経済史 / 日本経営史 / 繊維産業 / 企業文化 / 労務管理 / 経営史 |
研究開始時の研究の概要 |
戦前から戦後、高度成長期を経てバブル崩壊に至る日本経済の長い歴史の中で、産業構造や地域社会、そして工場所有者の変化に伴い、企業文化や労務管理が実際の生産現場である工場においてどのような形で形成され、運用されていたのかは正確に把握されていない。本研究は、企業文化や労務管理がさまざまな試行錯誤を経て時間をかけて、本社から各工場へと波及・定着し、さらに各工場の現場で蓄積されたノウハウが本社あるいは他の工場へ還元されていくことで変容もし得る複雑で相互依存的な過程であるという視点に立ち、その形成過程とその変容を考察する。
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研究実績の概要 |
2023(令和5)年度は資料保存状況を鑑みて、資料整理を行うこととし、史料の段ボール移し替えの大半を完了させて、目録作成を進めた。資料整理の過程で、工場の設計図や機械配置図が束になっていたことから、当初の想定より大量の史料が保存されていることが確認された。そのうえで今後の資料調査及び目録作成のための研究計画や論点を議論した。具体的には次の通りである。 ①仮目録と撮影画像との照合、②図面資料の確認と東洋紡績等他社及び鐘紡の別工場との比較、③企業文化に関わる資料の選定と分析:本社―工場間の関係や従業員教育・女子教育など労務管理、④③と関連して労働運動に関する研究、⑤地域社会・経済との関係、⑥⑤と関連して同地域同業他社との関連:とくに製糸結社「依田社」や「信濃絹糸紡績」(依田社の子会社―現「シナノケンシ」)が重要であると考えられる、⑦丸子鐘紡が日本で最後の絹糸紡績工場となるが、なぜ、丸子が最後まで存続しえたのか等である。 くわえて、以下の点がヒアリングから判明した。丸子工場の設立において土地買収から建設における丸子側の企業家、行政や政治家の働きかけの史料が丸子郷土博物館等に保管されている。鐘紡は他社を買収しながら経営規模を拡大していった企業であるが、中でも丸子工場は自社で一から設計・経営を推進した貴重な工場である。このような特色を持つ丸子工場は、鐘紡側の戦略のみならず丸子側の働きかけ(とくに製糸結社「依田社」の2代目社長の工藤善助)が重要であると考えられるが重要である可能性が大きい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1 戦前の鐘紡の企業文化を検討するうえで最も重要な武藤山治の時期に関する研究成果、Shotaro Yamaguchi, Serguey Braguinsky, Tetsuji Okazaki, Takenobu Yuki(2023)"Resource allocation and growth strategies in a multi‐plant firm: Kanegafuchi Spinners in the early 20th century", Strategic Management Journal 1-35が刊行された。 2 資料調査を行う上で重要な基礎作業である資料整理と目録作成の多くを完了させた。 3 以上の進捗をふまえたうえで、今後の資料調査・目録作成する上での研究計画を立案した。
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今後の研究の推進方策 |
1 資料調査の受け入れ先と調整を行い、2024年度の6月から2025年1月にかけて計5回程度の資料調査を行う。 2 1に合わせてメンバーとの研究会は対面及びオンラインにより定期的に行うことを予定している。研究会を通じて研究進捗状況の情報交換を行い、研究代表者と研究分担者が協力して、資料整理と目録作成を完了させて、史料解題を作成することを2024年度の最重要課題として進めていきたい。
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