研究課題/領域番号 |
21K01610
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
島田 竜登 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80435106)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 海域アジア / 季節変動 / 自然環境 / 港市 / オランダ東インド会社 / ネットワーク / 海域史 / グローバル・ヒストリー |
研究開始時の研究の概要 |
いわゆる近世期において、東アジアから西アジアにかけての海域アジアにおいて機能していた港市間の貿易ネットワークを分析する。とくに各港市やその後背地における「季節変動」に着目し、ネットワーク全体が各地の季節変動要因を織り込み、ひとつのシステムとしてネットワークがいかに機能していたかを実証的に検証し、自然環境上の制約を乗り越える工夫を凝らしながら、現代につながる広域経済システムが形成された過程を実証的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
いわゆる近世期、東アジアから西アジアにかけての海域アジアにおいて機能していた港市間の貿易ネットワークを分析することが本研究の主目的である。とくに各港市やその後背地における「季節変動」に着目し、ネットワーク全体が各地の季節変動要因を織り込み、ひとつのシステムとしてネットワークがいかに機能していたかを実証的に検証し、自然環境上の制約を乗り越える工夫を凝らしながら、現代につながる広域経済システムが形成された過程を実証的に明らかにすることを企図した。 そもそも海域アジアでは雨季と乾季が存在するなど季節的変動は現在も人々の生活に重要な影響を与えている。例えば、貿易商品として重要な農産物の生産についていえば、一般的に農繁期と農閑期が存在する。さらに、帆船貿易の時代においては船舶の移動には季節風が重要であった。これまでの貿易史研究は、こうした自然環境的側面を捨象して研究が進められてきたともいえる。人々は単に自然環境的制約をそのまま受け入れるだけでなく、克服の仕組みを作り上げた。本研究では自然環境的制約を克服するためにオランダ東インド会社等が行った工夫を明らかにする。かくして、季節的変動を乗り越え、アジア経済全体が国際分業に基づき密接度を高め、世界的には工業化が進展し、アジア的には本格的な植民地化の始まる19世紀に向けて、1つの動態として変容して行くプロセスを検証することが可能になろう。 2023年度は本研究の第3年目にあたる。第1年度と第2年度に収集したデータを詳細に分析することを中心課題とした。具体的には、オランダ東インド会社のアジア域内貿易について、その取扱商品の生産地と消費地の季節変動、さらにはモンスーン下の帆船の運航動向について分析を行った。また、補足史料としてスリランカ国立公文書館での史料調査・収集を実施した。それらの成果は口頭報告や論文の公表を通じて部分的に公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス蔓延の影響で海外出張による史料の収集が万全にできているわけではないが、インターネット公開史料などを優先的に利用することなどの工夫してできる限り計画通りに研究を実施してきた。しかし、分析結果を学会大会や研究会で報告し、コメントをえて、それをフィードバックすることにやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度には海外渡航がより容易に可能になることが予想されるとともに、海外での国際学会等がコロナ禍以前と同様、定期的に開催される見込みとなったので、2024年度には国際学会大会や国際会議で4件、研究成果を報告し、研究成果の精緻化を図ることとする。
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