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アメリカ統治から本土復帰への移行期にみる沖縄の経済問題

研究課題

研究課題/領域番号 21K01614
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07070:経済史関連
研究機関九州大学

研究代表者

宮地 英敏  九州大学, 附属図書館, 准教授 (90376575)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
キーワード壺屋焼 / シーサー / 西表島 / 浦添為宗 / 高江洲次郎 / 金城次郎 / 島袋常孝 / 煙害 / 沖縄 / 電力業 / 10電力体制 / 本土復帰 / 琉球政府 / 電力 / 石油 / 農連市場
研究開始時の研究の概要

戦後17年間のアメリカによる統治(軍政府・民政府の機関の直接統治と、琉球政府を通じた間接統治)によって、沖縄は日本本土とは異なった法体系や経済体制にあった。ところが、1972年に沖縄が日本本土に復帰することとなると、それら沖縄の法体系や経済体制は、日本本土のそれへと変更されていくことになる。本研究では、このアメリカのルールから日本のルールへの変更に伴って、沖縄経済でどのような問題が発生し、それを解決していったのかについて分析することを目的としている。

研究実績の概要

2023年度は、当初予定では2024年度に行う予定であったエネルギー産業以外の産業についての資料および分析視角を発見したため、2023年度と2024年度を入れ替える形での研究を行うこととなった。具体的には、2023年8月末~9月頭にかけてと、2024年3月に沖縄県立図書館および那覇市立図書館へと資料調査に出かけ、主に壺屋焼に関する調査を進めた。
その過程で、壺屋焼は1972年の沖縄の本土復帰の数年前から、登り窯の煙害が盛んに問題視されていたことが判明した。しかしながら同時に集めていた資料によると、煙害についてはすでに1950年代から問題が存在していたことが分かったため、煙害問題そのものと、それが沖縄の本土復帰前に顕在化した点についての分析を行うこととなった。そこで、まずは1950年代からの煙害の発生について、戦前の壺屋から戦後の壺屋への転換を経済地理学の景観論の分析手法なども援用しながら行った。その上で、それが1960年代末に顕在化(社会問題化)した理由が、本土復帰前の主席公選制およびトリプル選挙に向けての日本社会党沖縄県本部の運動方針として、日本本土で注目されていた公害問題を取り上げることが決められ、それに合わせての市民運動が立ちあげられたことが背景にあることが判明した。一方で壺屋の窯元の側では、シーサーを主に生産していた高江洲育男がガス窯へと転換したイノベーターであった。屋良朝苗政権がコンクリート造りの住宅等に限って住宅融資を行う政策を実行したため、明治以来の漆喰シーサーから壺屋焼シーサーへの転換が発生した。高江洲育男がこれに合わせて、登り窯からガス窯へと転換をしたことは、地域で共有していた窯から個人所有の窯への転換であることを意味し、自由に生産量を調節することが可能になったことを意味していた。これ以外にも、西表島の開発についての研究や、電力の研究の報告も行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画では、2022年度に電力業の論文を執筆し、2023年度には電力業以外の石油産業などのエネルギー産業関連の研究を進め、2024年度にその他の産業についての論考を執筆する計画であった。2022年度の電力業の論文執筆は予定通りであったが、2022年度から2023年度にかけて本来は2024年度に実施する予定であったその他産業である陶磁器業(壺屋焼)に関する資料および分析視角を発見することになった。そのため2023年度と2024年度の計画を入れ替えることにより、2023年度には壺屋焼の煙害問題についての分析を進めることとなった。
それと同時に、2022年度中に西表島の開発計画に関する資料も発見してしまうこととなった。この資料は、戦前の西表島の開発計画と戦後の沖縄の開発計画の架橋となる、極めて重要な沖縄県が作成した資料であった。沖縄戦を経験したために、沖縄は戦前の資料類がかなり限られている状況であったが、今回の資料の発掘により従来は西表島の開発計画は戦後のものとして考えられていたものが、実は戦前からの一貫した流れの中にあることが判明した。
このように、2023年度と2024年度の研究計画の順番が入れ替わっているとはいえ概ね当初の計画通りに研究が進んでいるのに加えて、全く想定外の西表島の戦前と戦後をつなぐ資料を発掘し、その分析まで進めることが出来た。以上を踏まえて、(1)当初の計画以上に進展しているといえるであろう。

今後の研究の推進方策

最終年度である2024年度も、基本的には沖縄県立図書館、那覇市立図書館、沖縄県公文書館など沖縄での資料調査を進めていく。具体的には、電力や石油などのエネルギー関連の産業が、1972(昭和47)年の沖縄の本土復帰にむけてどのような状況であったのかを明らかにしていく。2024年度中に論文にまとめる。
それとともに、壺屋焼やシーサーについての学会などでの報告を積極的に行うこととする。
また、西表島の開発計画の資料を発見したように、追加で新たな資料類を発見することも心がけることとする。

報告書

(3件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 壺屋焼における窯をめぐる問題について : アメリカ占領期を中心にして2024

    • 著者名/発表者名
      宮地 英敏
    • 雑誌名

      エネルギー史研究 : 石炭を中心として

      巻: 39 ページ: 33-58

    • DOI

      10.15017/7172121

    • ISSN
      0286-2050
    • 年月日
      2024-03-25
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 本土復帰にむけた沖縄における電力一元化の過程2023

    • 著者名/発表者名
      宮地 英敏
    • 雑誌名

      エネルギー史研究 : 石炭を中心として

      巻: 38 ページ: 31-53

    • DOI

      10.15017/6779660

    • ISSN
      0286-2050
    • 年月日
      2023-03-25
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 書評 與那原建・山内昌斗著『沖縄企業の競争力』2022

    • 著者名/発表者名
      宮地英敏
    • 雑誌名

      経営史学

      巻: 57巻3号 ページ: 21-23

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 近代西表島の開発と構想-浦添為宗を中心にして2023

    • 著者名/発表者名
      宮地英敏
    • 学会等名
      日本経済思想史学会第34回全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 沖縄の本土復帰と奔走する電力体制-施政権の移転にともなう経済メカニズムの選択2023

    • 著者名/発表者名
      宮地英敏
    • 学会等名
      社会経済史学会第92回全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 歴史からみた経済と社会 : 日本経済史研究所開所90周年記念論文集2023

    • 著者名/発表者名
      日本経済史研究所
    • 総ページ数
      1000
    • 出版者
      思文閣出版
    • ISBN
      9784784220670
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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