研究課題/領域番号 |
21K01618
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
崔 在東 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (10292856)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | ソヴェト農村 / 国営作物保険 / コルホーズ / 集団農場 / 災害 / 穀物調達 / 国営災害保険 / 火事 / 放火 / 国営農業保険 / 国営家畜保険 / 国営生命保険 |
研究開始時の研究の概要 |
ソヴェト政権の農業保険事業は農民経営の安定的営みを脅かす、様々な災害に対する対策としての保険制度である。いずれの保険も誰もが加入しなければならない強制保険の原則で運営されていたため、これらの農民経営への影響は多大なものであった。それに20世紀後半ソヴェト農村における火事などの災害件数、家畜の死亡および作物の災害件数などは大戦前のそれを下回るどころか、むしろはるかに上回る著しいかつ持続的右肩上がりの増加をソ連崩壊の1990年まで示していた。それらはときより20世紀前半より数倍も多い規模に達し、国営農業保険が農民経営に有する意味はより著しく増していた。
|
研究実績の概要 |
2022 年度にはロシアによるウクライナ侵攻のため、ロシアに直接史料調査に出かけることができなかったものの、夏休みと冬休みの期間を利用し、2 回に渡って旧ソ連のジョージア(グルジア)で史料調査・収集とヒアリング調査を行った。トビリシにあるジョージア国会図書館において現地のロシア語およびジョージア語の新聞を中心として史料調査を行うと同時に、ジョージア国立公文書館で同じくロシア語およびジョージア語の史料調査を行った。また、夏休みの期間中にはジョージアの複数の地方において現地住民を対象とするヒアリング調査を行った。慣れていない地域と異なる言葉の環境のため、十分な成果を上げることはできなかったものの、ロシアのモスクワの公文書館では確認できなかった複数のミクロ的史料を発掘することができた。さらに、歴史公文書がトビリシだけでなく、複数の地方に地域公文書館があり、そこには中央公文書館にはない、よりミクロ的な史料が多く保管してあることを確認できた。例えば、個別コルホーズの 1930 年から 1990 年までの史料が最も興味深いものである。今年度の調査では時間の都合上地方公文書館にまで足を運ぶことができなかったものの、研究のさらなる発展のための重要な手掛かりを見つけたのは大きな成果の一つである。目下、ロシアの研究者も含める 20 世紀ソヴェト農村についての論文集の刊行を準備しているが、論文「ソヴェト農村における作物災害、穀物調達と国営作物保険」を投稿している。さらに、国営火災保険、国営家畜保険と国営作物保険を総括する国営農業保険についての論文の投稿を準備すると同時に、研究の集大成としての書籍を日本語だけでなく英語でも出版する準備をしている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ソ連邦農村についての史料はロシアのモスクワに集中的に保管されているが、2022年2月に起きたロシアによるウクライナへの侵攻のために、モスクワで史料調査を行うことができなくなった。そのため、旧ソ連のジョージアで史料調査を行ったが、保管状況の相違、慣れてない環境と言葉の壁のために、十分な成果を上げることができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
2回に渡るジョージアにおける史料調査の過程で、複数の地方公文書館に個別集団農場についての時系列的かつミクロ的史料が膨大に存在していることが分かったため、よりミクロ的研究の進捗を期待できる。なお、2023年度にはジョージアだけでなく、ウズベキスタン、カザフスタン、アゼルバイジャンとアルメニアなど複数の旧ソ連圏国家において史料調査を行う予定である。
|