研究課題/領域番号 |
21K01642
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鳥田 友起 早稲田大学, 産業経営研究所, その他(招聘研究員) (40835005)
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研究分担者 |
淺羽 茂 早稲田大学, 商学学術院(経営管理研究科), 教授 (60222593)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | コーポレート・ガバナンス / 模倣 / 合理性と非合理性 / 株主志向 / ステークホルダー志向 / Corporate governance / Japan / abandonment / reversion / institutional inertia / backlash / Corporate Governance / Transition / Comparative Study |
研究開始時の研究の概要 |
本研究プロジェクトの目的は、日本企業のみならず、多様な国々におけるコーポレート・ガバナンスの変化要因を明らかにすることである。これまでの研究と異なる点は、日本やドイツのような市民法国家における企業の株主志向のコーポレート・ガバナンスへの変化ではなく、そうした企業がガバナンスを株主志向へと変化をした後に、ステークホルダー志向のモデルへと再び変化する、回帰的変化を主要な分析対象としている点である。現実的にも、執行役員制度を廃止するといったような回帰的な変化を行う企業が、増加傾向にある。そうした点を考慮すると、学術的のみならず、実務的に有意義な知見を本研究は、提供することができるだろう。
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研究実績の概要 |
コーポレート・ガバナンスの多様な変遷過程に関するメカニズムを定量的に検証することを目指している本プロジェクト下での、2023年度の取り組みに関しては、コーポレート・ガバナンスモデルの往来に関しての研究を行い、その成果は国際学会での発表・論文化および英語ジャーナルへの投稿という形で見ることができる。 具体的な内容としては、グローバル化という社会的な風潮に従って、真剣に考えずに世間の流れに任せて、コーポレート・ガバナンスを株主志向へと変遷させた企業は、その業績を低迷させる可能性がある。というのも、その本質的な目的や他の制度との整合性に関して、真剣に考えていない非合理的な変遷を行ったからである。業績の低迷に対して、企業は、その変遷したコーポレート・ガバナンスモデルを再度、元の形へと戻す合理的な変遷を行うのではないかという問題意識を持った。 そうした問題意識を定量的に検証した結果、我々の仮説を支持する分析結果を得ることができた。このような発見は、非常に価値あるものであると言える。というのも、既存研究の大半は、グローバル化に沿って、コーポレート・ガバナンスを株主志向へと変遷するメカニズムを検証しているけれども、その先に関しての発見を提示している研究は、限定的だからである。本プロジェクトでは、グローバル化に応じて株主志向へ変遷した後のことに重点を置いているという点に、研究意義と重要性を見出すことができている。 今後は、株主志向へと変遷し、業績の低迷に直面しているにも関わらず、元のモデルに戻らず、株主志向を維持し続けているメカニズムに目を向けていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究プロジェクトの開始して以降、2022年度コーポレート・ガバナンスの多様な動きに関しての研究を行っており、それぞれのメカニズムの解明が進んでいる。例えば、初年度は、合理的な理由で株主志向を採用したのだけれども、予期せぬ非合理的な制度的な要素によって、ステークホルダー志向へと戻ってしまうという動きのメカニズムに関する研究を行っている。翌年、2023年度は、非合理的な理由で株主志向を採用した企業は、パフォーマンスの低迷といったような合理的な理由によって、戻ってしまうというメカニズムの検証を行っている。それぞれは、既存研究においては行われていない変遷を研究対象とした独創的な研究であり、重要な意義と洞察を有していると考えることができる。その結果として、本研究プロジェクトが承認されて以降、毎年国際学会での発表あるいは論文としての投稿を行っており、着実に成果を挙げている。そうした点を考慮した結果、おおむね順調に進展しているといえるだろう。 当初の計画以上に進展していない理由としては、英語雑誌での出版を当初の目標としていたのだけれども、そこを到達することができていないという点に物足りなさを現時点では感じている。出版に至るために不足している点や問題点を色々な方からの助言から認識することができているので、そのポイントを改善し、より精錬された研究論文として、論文出版をすることができるようにしていきたいと考えている。
そして、それぞれの成果を毎年、研究発表あるいは論文として公表している
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今後の研究の推進方策 |
本年度、2024年度は、すでにフルペーパーでの国際学会 (British Academy of Management)での発表が内定している。それは、株主志向を採用した企業がステークホルダー志向へと変遷する理由をBacklash theoryという理論を活用することによって、定量的に検証したものである。発表申請の際に、レビュアーからさらに強化するべき点と改善するべき問題点に関するコメントをもらった。そうした点に真摯に取り組むことによって、論文の更なる精緻化と課題解決を図っていきたいと考えている。特に、分析方法と仮説構築の箇所の弱さを指摘してもらったので、その部分を共著者である本プロジェクトの分担者と相談・話し合いを重ねたうえで、取り組んでいきたいと考えている。 それと同時に、別の研究として、非合理的な理由で株主志向を採用した結果、業績の低迷に直面したにも関わらず、株主志向に留まり続けている企業の動きに関するメカニズムを明らかにしたいと考えている。それは、失敗からの学習とも成功体験による組織慣性とも異なるメカニズムを内包しているように感じることができる。そうした研究は、これまでの変遷メカニズムとも大きく異なる点に着目している点からも、重要な研究意義を有しており、学術的な貢献を内包することになると信じている。
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