研究課題/領域番号 |
21K01653
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
宇都宮 譲 長崎大学, 経済学部, 准教授 (60404315)
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研究分担者 |
福澤 勝彦 長崎大学, 経済学部, 教授 (00208935)
藤田 渉 長崎大学, 経済学部, 客員教授 (30264196)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 衛星画像 / 建物面積 / 労働力人口 / アロメトリー / 人的資源量 / 東南アジア / 色空間 / タイ / ベトナム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、衛星画像から得られる植生・都市化指標にて表現する産業構造と産業集積、地理的な近接関係を勘案、官庁統計が集計した都県・省市別労働力勢力から人的資源量を推定するモデルを構築する。対象はタイおよびベトナムである。対象期間は1994年から2020年とする。
本研究は、下記3点を予想する。第一、人的資源量は漸減する。第二、産業構造変容は人的資源量変動に影響を及ぼす。第三、首都や産業集積が進んだ地域とそうではない地域との単純な往復ではなく、より多極的な移動がおこなわれる。
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研究実績の概要 |
本年、都県別建物面積から都県別労働力人口を予測した。予測にあたって、アロメトリーと呼ばれる法則に依拠した。アロメトリーは、部分的なサイズと全体のサイズとの関係を表現する。動物における体長と体重との関係がよく知られる。 建物面積は、Microsoft社が提供するデータから取得した。建物数はおよそ2,400万軒存在する。建物面積データには緯度経度にて表現されたポリゴンが収納される。同データから建物面積と住所を取得した。これら作業と検算に、都合7ヶ月を要した。都県別労働力人口は、別研究にて推定した。以上データを用いて、簡単な回帰モデルを用いて都県別建物面積から労働力人口を推定した。結果、回帰係数は0.93、切片は-0.91、自由度修正済み決定係数は0.84であった。バンコク都のみ、労働力人口をやや寡少に推定する。おそらく、他県に比べて極端に高い建造物が多く、面積当たりの労働力人口が多いためと推測される。これは建物高さに関するデータを組み合わせれば解決するが、タイ王国については建物高さに関するデータがない。今後の応用を考えれば高さデータがない場合が多いことが考えられるため、色情報など変数を加えてモデルを改良することが妥当と考えられる。 衛星画像を用いて人口を推定する研究は数多く存在する。たいていは衛星画像から読み取る夜間光ないし衛星に搭載されたセンサが検知する放熱データを用いる。こうした既存手法には、いくつか問題がある。第一、昼間に活動しない産業や高温を発しない場合を反映せず、推定誤差を大きくする傾向がある。第二、推定理論において根拠不明である。本研究はこうした先行研究における限界を突破する。経営環境を論じる経営学を、生活の知恵や経験則からなる集合から、再現性を備えた科学へと進歩させる契機ともなるであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
色情報を用いるよりも高い精度にて推定できることがわかった。アロメトリー理論もよくあてはまることがわかった。解析は順調に進んでいる。 投稿時期の都合、研究期間が順延した。しかし作業自体はきわめて順調である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、論文執筆および国際会議発表に傾注する。 地理的自己相関ないしバンコク都における誤差修正方法について検討したい。
バンコク都における建物面積から推定される労働力人口は、他県に比べて推定された回帰曲線からかなり上方に離れるように見える。すなわち、われわれが依拠するモデルは、バンコク都における労働力人口を寡少に推定する可能性を有する。こうした乖離は、誤差分析結果によれば、上記乖離はいわゆる誤差の範囲として解釈できる。とはいえ、よりモデルを改良することで、よりよいモデルを構築できる可能性がある。そこで本年度は、地理的自己相関を組み込んだモデルと、衛星画像から取得した色情報を加味したモデルを検討する。なお、バンコク都であるかどうかを加味するダミー変数を入れる方法は採用しない。簡便ではあるが、理論的根拠に乏しいからである。
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