研究課題/領域番号 |
21K01654
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 聖学院大学 |
研究代表者 |
八木 規子 聖学院大学, 政治経済学部, 教授 (20817382)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | ダイバーシティ / 経営 / 外国人労働者 / アイデンティティ / 交差性 / 社会的統合 / ダイバシティ / 移民政策 |
研究開始時の研究の概要 |
外国人労働者は、日本企業が持続的な発展を遂げるために重要な存在である。本研究では、外国人労働者を「外国人」というアイデンティティの他にも複数のアイデンティティを持つ存在としてみる視点から、ダイバシティ経営で導入される諸施策の有効性を、当事者である外国人労働者への聞き取り調査により明らかにする。さらに、ドイツ、米国との比較により、外国人労働者の受け入れに関する制度設計や歴史的、文化的背景、すなわち外国人労働者の社会的統合を進める上での付随条件の違いが、外国人労働者の複数アイデンティティ体験にどのような影響を与えるのかを調査し、ダイバシティ経営を成功させるための要件の解明を試みる。
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研究実績の概要 |
外国人労働者の受け入れに関する制度設計や歴史的、文化的背景について、日本の状況を整理することを継続した。外国人労働者のアイデンティティ形成と交渉に影響を与えると考えられる付随条件の抽出においては、従前より検討を進めている”intersectionalityとその補助概念としての”contact zone”の類似性と相違点という観点から、本研究における位置づけを明らかにしていくことを継続した。 日本国内、海外において、本研究のフレームワークに影響を及ぼしそうな事案の収集に努めた。たとえば、日本では、令和5年度、技能実習に代わる「育成就労」を新設する技能実習法と出入国管理法などの改正案が国会で審議入りするという変化があった。こうした法的制度の変更の背景や、予想される波及効果に関する報道などの収集を続けた。同様に、米国、ドイツ・EUにおける、外国人労働者、移民に関連した法・制度等の変更、また、これらの変更に対する社会、国民の反応の様子を収集した。 海外調査については、海外協力者との関係維持を図った。実際に調査を行うとしたら、時期はいつが好ましいのか、インタビュー候補者のリクルーティング方法はどのような方法が可能なのか、といった点について意見交換を続けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度指摘した、日本と比較対象とするドイツ、米国の2ヶ国の外国人労働者のアイデンティティ形成と交渉に影響を与えると考えられる付随条件の抽出、ならびに半構造化インタビューの質問項目の絞り込み、インタビュー候補者の探索、リクルーティングといった各国における調査準備の遅れは取り戻せていない。
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今後の研究の推進方策 |
当該研究テーマに関わる日本の状況においては、近年、外国人技能実習制度の見直しに代表される法的枠組みの変更に関する議論が盛んに行われている。こうした日本社会の情勢変化を、研究の分析に取り込めるよう、情報収集を継続する。そして、そうした法的制度の変更が、外国人労働者のアイデンティティ認識に与える影響や、その他の複数アイデンティティのレパートリーや複数アイデンティティ間の相互の関係性に与える影響についての考察を続ける。こうした視点を考慮に入れながら、「外国人」というアイデンティティが、ダイバシティ経営においていかなる影響を与えるかを多層的に理解するという、研究の目的を達成したい。 比較対象とする米国、ドイツについては、日本の制度変更を手がかりに、これらの国々における類似制度の有無、また制度設計とその思想の違いを明らかにする。そのうえで、そうした制度的な相違(あるいは類似性)の外国人労働者のアイデンティティ認識への影響について考察を進める。考察を進めるにあたっては、intersectionalityやcontact zoneという概念装置がどの程度の説明力を有するかを検討していく。 海外調査については、対面によるインタビュー調査に出向くことが時間的に困難であるため、コロナ禍で普及したTeams, Zoomなどのオンライン会議システムを活用しての海外協力者との調査研究方法を探ることにより、時間的、空間的な制約を克服したい。
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