研究課題/領域番号 |
21K01688
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
井上 達彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40296281)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ビジネスモデル / スタートアップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ビジネスモデルの定義やその調査方法についての国際的なコンセンサスに基づき、複数のアプローチから、「スケールしうるビジネスモデル」についての調査研究を進めていく。どのようなビジネスモデルが急速な規模拡大を可能にするのか、また、投資家にそう期待させるのかについて実証的に調査することで、実践的な貢献と理論的な貢献を追求していく。
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研究実績の概要 |
2023年度は、2つの学術誌に研究成果を掲載することができた。『組織科学』に掲載された「ビジネスモデル・ポートフォリオの実証研究」という論文では、ビジネスモデルの組み合わせとしてのビジネスモデル・ポートフォリオに注目し統合的なフレームワークを提示した。そのポートフォリオが好業績の実現や投資家の期待につながるかを検証した結果、少ない市場で複数のビジネスモデルを組み合わせる「融業型」のポートフォリオの資本効率性が高いこと、また複数の市場で得意とするビジネスモデルを複製する「横展開型」の企業価値が高いことが明らかになった(パフォーマンスは資本の効率性を示すROAや投資家の評価を示すTobin’s Qによって測定された)。 また、『一橋ビジネスレビュー』に掲載された「投資家に評価されるビジネルモデル」という論文では、投資判断というのはアートなのかサイエンスなのかに注目し、投資家は、ビジネスモデルの視点から何をどう評価するのかの調査結果を提示した。最前線で活躍するアナリスト、ファンドマネジャー、ベンチャーキャピタリストへのインタビューと実験調査から、投資家たちの思考プロセスに迫り、投資家たちが企業の将来性を評価するビジネスモデルをどのように捉えるのかを解明した。コンジョイント分析的なインタビュー調査の結果、アナリストとファンドマネージャの違いである。アナリストがビジネスモデルを見るときに、要素に還元して多面的に分析するという傾向があるのに対し、ファンドマネージャは全体を直感的に総合し判断を下していくことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
もともとの研究計画では、研究助成期間の最終年度で『組織科学』などに掲載されることを目標にしていたが、ビジネスモデルの特集が同誌で組まれることもあり、調査を加速させて掲載することができた。また、『一橋ビジネスレビュー』の特別寄稿論文の機会をいただけたこともあり、機関投資家を対象に行った調査をまとめることができた。いずれも、研究が当初の計画以上に進展していることを示す成果である。 アウトプットが円滑に進んだこともあり、当該年度以降に向けて新たなデータベースの構築に研究の軸足を移すことができた。まだパイロット段階ではあるが、週刊『東洋経済』の特集で、大企業のビジネスモデルの分類を、編集チームと協力しながら行い、将来のデータベース化に向けて一定の感触をつかむことができた。また。また、助成期間最終年度に向けて、これまでインタビュー調査したスタートアップの事例を整理するという作業も進めることができた。さらに、ケースを解釈するための理論レンズを探索するために、主要な起業系のジャーナルのシステマティックレビューに着手した。いずれも、研究室に所属する大学院生から調査協力を得たことで円滑に進めることができた。本研究助成を活用できたこともあり、研究は当初の計画以上に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の進め方は、成果物に合わせて大きく2つに分けられる。第1に、大企業のビジネスモデルのデータベースを構築し、企業価値と経営成果との関係を探索する。2023年度と同じ研究チームで、科研の研究助成を活用しながら効率的に分業を進めるつもりである。 第2に、テック系スタートアップの事例研究から企業価値との関係について有益な知見を得る。そのために、2つの作業を同時に進めるつもりである。1つは個々の事例を多面的に分析すること、そしてもう1つには海外のジャーナルのシステマティックレビューをさらに進め、適切な理論レンズを見つけ出すという作業である。
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