研究課題/領域番号 |
21K01691
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
北居 明 甲南大学, 経営学部, 教授 (30278551)
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研究分担者 |
多湖 雅博 京都文教大学, 総合社会学部, 講師 (00784159)
古田 克利 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 准教授 (20612914)
島田 善道 公立鳥取環境大学, 経営学部, 准教授 (50824447)
西之坊 穂 摂南大学, 経営学部, 准教授 (80780163)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 解決志向 / 問題志向 / コミュニケーション / コーチング / 心理的安全 / 職場 / 尺度開発 |
研究開始時の研究の概要 |
解決志向とは、問題の原因を探るのではなく、問題が解決された状態に焦点を当てることによって問題解決を図る方法である。本研究では、職場における解決志向と問題志向のコミュニケーションを測定する尺度を開発し、その妥当性と信頼性ならびに有効性を検証する。この研究を通じ、我が国の職場を活性化する有効な考え方として、解決志向コミュニケーションを提示する。さらに、解決志向コミュニケーションの有効性について国際比較研究を行い、文化的特殊性あるいは普遍性についても検証する。
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研究実績の概要 |
2022年度は、解決志向/問題志向コミュニケーション尺度の信頼性と妥当性を確認するため、インターネットを使った大規模調査を行った。その結果、コーチング分野の先行研究とほぼ同様の傾向が見られ、我々が作成した尺度の収束的妥当性が確認された。また、他の解決志向に関する尺度(解決構築尺度)との弁別妥当性も確認された。この研究結果は、海外ジャーナル(Journal of Solution Focused Practice, Vol6 No.2)に掲載された。 また、別のデータを用いた研究では、解決志向が心理的安全を部分媒介としてワーク・エンゲイジメントに影響するという仮説モデルが支持された(研究結果は未発表)。 我が国の学生と社会人を対象とした解決志向と問題志向のコーチング比較研究では、学生、社会人とも解決志向コーチングの方が問題志向よりもネガティブ感情を減少させ、自己効力感を向上させることが見出された。先行研究はオーストラリアとヨーロッパの学生を対象しており、アジアの社会人でも解決志向コーチングの有効性が確認された初めての研究と言える(研究結果は現在海外ジャーナルに投稿中)。 我が国の社会人を対象とした、解決志向コミュニケーション教育に関する介入研究も実施した。3回のセッションを通じ、参加者の解決構築に統計的に優位な向上が見られた(研究結果は未発表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々が開発した尺度の妥当性が確認され、さらなる研究への応用可能性が拡大した。その一環として、心理的安全およびワーク・エンゲイジメントへの影響が確認された。この成果は、学会発表や論文として公表していく予定である。 また、解決志向コーチングが、日本の学生や社会人に対しても有効であることが示唆され、さらなる介入研究に向けて実証的基盤が構築されたものと考えることができる。 さらに、小規模(N=9)ながらも解決志向コミュニケーション教育の介入効果も確認することができた。この研究結果も、さらに大規模な介入研究を行う上での実証的基盤となる。 このように、最終年度に向けて実験的な研究の成果が出ており、こうした研究の公表ならびに更なる大規模調査に向かうための方向性を見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、まず昨年度に行った研究の公表を行う予定である。特に、解決志向コミュニケーション尺度と心理的安全に関する研究、また解決志向コミュニケーション教育の介入研究の公表を手掛けたい。 また、解決志向コーチングのさらに大規模な研究、ならびに解決志向コミュニケーション教育の介入研究も、研究対象を変えて行う予定である。解決志向/問題志向コミュニケーション尺度の国際比較研究も同時に進めたい。 以上の研究を通じ、我が国における解決志向コミュニケーションの有効性を確認し、効果的な介入方法について示唆を得ることが最終年度の目的である。
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