研究課題/領域番号 |
21K01705
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
佐藤 厚 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (10388051)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 人材育成 / キャリア形成 / 国際比較研究 / ホワイトカラー / 仕事と教育の関連 / 自律的キャリア意識 / 職業教育訓練 / 内部労働市場 / 職業別労働市場 / 職業キャリア / 国際比較 |
研究開始時の研究の概要 |
内部労働市場と職業別労働市場といった労働市場に加えて職業教育訓練システムを枠組みに取り入れ、国際比較の視点からの研究成果を目指すものである。 日本の職業教育訓練と労働市場及びその関係を他国(英国や独国など)と比較することでその特徴を考察し、それを踏まえて従業員のキャリア開発の在り方やそのための人事施策、さらにはそれと補完性のある職業教育訓練システムの方向性を検討していくことが研究概要である。
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研究実績の概要 |
本研究では、英独日のホワイトカラーのキャリア形成についての国際比較研究レビューを試みた上で、英独日のホワイトカラーを対象とした調査(Web調査:調査エリアは日本、ドイツ、イギリス。調査対象は各国のホワイトカラー従事者。目標最低サンプル数として各国700人(計2100人)を設定)を実施し、その結果をまとめた。主な事実発見として以下が指摘できる。 イギリスは、転職経験者比率が多く仕事と教育の関連性は中間、仕事経験の範囲は(勤続年数に占める最長職能経験年数比率では)中間(か実務経験パタンでは狭い)で昇進選抜時期は早く、自律的キャリア意識は高い、といえる。またドイツは、転職経験者比率が中間だが仕事と教育の関連性は強く、仕事経験の範囲は狭く、昇進選抜時期と自律的キャリア意識はイギリスと日本の中間、といえる。そして日本は、転職経験者比率が少なく、仕事と教育の関連性は弱い。また仕事経験の範囲は勤続年数に占める最長職能経験年数比率でも実務経験パタンでも広く、進選抜時期は遅い。そして自律的キャリア意識は低いといえる。 以上を踏まえると、日本のホワイトカラーは、仕事と教育の関連付けが弱い下で、特定企業で幅広い仕事経験とゆっくりした昇進をベースとした長期的キャリア形成を行う、そして自律的キャリア意識は低いという特徴付けが可能である。これに対して、イギリスは、高い自律的キャリア意識を有したホワイトカラーが複数企業を経験しながら管理職に昇進していく。またドイツは、仕事と教育との関連付けが強い下で、特定の職業にそったキャリアを形成していく、という特徴付けがそれぞれ可能であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
以下の理由から、本研究の現在までの進捗状況は、当初の計画以上に進展している。第1に、英独日それぞれの国の職業教育訓練制度と労働市場との関係についての先行研究サーベイについては、ほぼ達成し、すでに成果物(「職業教育訓練(VET)と労働市場の関係について」『生涯学習とキャリアデザイン』2021年Vol.18,No.2)としてとりまとめている。 第2に、英独日のホワイトカラーのキャリア形成についてのWebアンケート調査は、業務委託先の協力も得られたことから目標通りのデータを収集することができた。さらにそのデータセットを分析することで、有意義な知見を得ることができた。第3に、データ分析の結果を、研究論文(「ホワイトカラーのキャリア形成に関する英独日比較ー大企業管理職を中心とした実証分析」『生涯学習とキャリアデザイン』2021年Vol.19,No.1)としてまとめることができた。以上の研究成果を令和3年度にまとめたことを踏まえると、計画当初の予定2021年度よりも早く研究成果をまとめる目途がついたといえる。 このように研究の進捗は当初の予定よりも順調だったことから、Webアンケート調査で得られた英独日のデータを分析した結果に、英独日それぞの国の職業教育訓練制度と労働市場との関係についての先行研究サーベイ作業の成果を統合し、当初よりも早く2022年度中に学術研究図書(『日本の人材育成とキャリア形成:日英独比較』中央経済社)として刊行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画よりも早く研究成果を出版することができたことから、今後の研究の推進方策は、この研究成果を所属学会や関連する研究会等で広く発信していくことにあるであろう。 具体的には、労働政策研究会議(2023年9月24日開催予定)のシンポジウム(統一論題テーマ「能力開発とキャリア形成」)で発表する予定である。
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