研究課題/領域番号 |
21K01706
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
高田 朝子 法政大学, イノベーション・マネジメント研究科, 教授 (10349194)
|
研究分担者 |
恩蔵 三穂 高千穂大学, 商学部, 教授 (10287956)
横田 絵理 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (20277700)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 女性後継者 / 後継期間 / リーダーシップ / 承継プロセス / 男性後継者 / 家業 / 忠誠心 / ファミリー・ビジネス / 定性調査 / 父親からの承継 / ファミリービジネス / よそ者 / 正当性 / 比較研究 / 教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は女性後継者の承継プロセスに焦点をあて「後継者である娘と、後継させる親」「後継者である息子と後継させる親」という二つの視座から比較研究することで具体的な施策を導く。第一に男性後継者と女性後継者の承継プロセス上の経験や行動、先代との関係に違いがあるのか。第二に女性後継者は後継者としての正当性をどのように社内外において示し、信頼を獲得するのか。男子後継者との違いは何か。第三にファミリービジネスの社長はどのように後継者を教育し、複数候補者がいる場合はどの時点で選抜し、どのようにバトンタッチをするのか。これらを明らかにすることによって実行可能性の高い知見を示す。
|
研究実績の概要 |
本年度はコロナ禍でおもうように進まなかったインタビュー調査を中心に、当初の予定である後継者ならびに先代社長に向けた質的調査即ち、前段階で明らかになったことを踏まえて、主としてインタビューとフィールドワーク中心の実態調査を中心に行った。特に、女性後継者に対して、2時間から3時間程度のディープインタビューを実施する事ができ、丁寧な聞き取りの中で、彼女達の本音や心境の時系列の変化を彼女達の言葉で得ることができた。このインタビュー記録は今後の女性後継者研究の重要な資料となるであろう。 一方で、研究の考察が進んだ。定性調査からの結果、ライフコースを就学、就職、家業への参加、社長就任、社長就任後で考えてみると、男性後継者のライフコースとそこに至るまでの選択は常に家業とともにある(奥村,2015)。彼らはライフコースにおいて常に自らのリーダーシップを研鑽することが求められる。しかし女性後継者のライフコースは家業の影が薄い。そもそも女性が後継者として扱われることが少なかったために、ファミリーからのリーダーシップの研鑽についての要請も無い。加えて20代から30代は、結婚・出産というライフイベントと重なり、ライフイベントの方を重視するため家業に積極的に関わることがなかったことが明らかになった。同時に最も大きな特徴は、多くの女性後継者が入社後から後継を言語にて父親から宣言されるまでの間、将来の見えない曖昧な期間を長く過ごす点である。男性後継者が「跡取り」として育てられ、入社するのに対して、女性後継者達の中で後継が幼少時から約束された者は1名のみであり、大半は自分が後継者になるかどうかは不透明な状況にあった。そして、そのような状態にもかかわらず家業に強くコミットメントをし、家業の状態をより良くするために身を粉にして働いていたことが指摘できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍でのインタビュー調査の遅れと、対照群として行った男性後継者研究からの派生で本の執筆をしたため。
|
今後の研究の推進方策 |
1年延長したことによって、収集したデータを元に論文執筆ならびに学会発表を積極的に行う時間を確保することができた。予定していた以上の定性調査のデータを得ることができたため、日本青年会議所への大規模定量調査は時間の関係上実施しないことを決めた。現在入手したデータでの研究推進が可能と判断したためである。得がたい定性データを最大限活用し、論考を行う。
|