研究課題/領域番号 |
21K01710
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
羽田 裕 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (80546268)
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研究分担者 |
羽田野 泰彦 公益財団法人名古屋産業科学研究所, CTLO, コーディネータ (10540586)
後藤 時政 愛知工業大学, 経営学部, 教授 (20329626)
野中 尋史 愛知工業大学, 経営学部, 准教授 (70544724)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | マーケティング的思考 / 知的財産 / 特許 / 新規事業展開領域 / 医療機器分野 / マーケティング・ツール / 新規事業 / 医療機器・ヘルスケア / ポジショニング・マップ / パテント・マップ / 知財戦略 / マーケティング / 特許情報 / パテントマップ / 中小企業 / 新規事業展開 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,中小企業の新規事業への参入に対して,知財情報をマーケティング・ツールとして活用できる方法と有用性について,学術的および実践的に検証を行い,社会実装へとつなげていくものである。第1は,特許情報から自社技術の強みを顕在化するツールと新規事業の目指すべき方向性を見える化するパテントマップの開発を進める。第2は,特許と事業性の関係を明らかにする。第3は,ヘルスケア事業への新規参入を目指す中小企業に対し支援業務を通じた実証を行う。
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研究実績の概要 |
当該年度は,知的財産(知財)活動の重要性を認識し,積極的に知財を活用し,新技術・新製品の開発,新市場の開拓を行う知財経営に取り組む中小企業等に焦点を当て,研究を進めてきた。この知財経営積極的型と呼ぶべき中小企業等をどのような基準で判断するのかに関する判断基準が必要となる。そこで当該年度の前半は,この判断基準を示すことを目的とした。後半はこれらの中小企業等が知財のひとつである特許から自社の技術的強みの抽出と新規事業展開の方向性を探索する手法の検討を行った。そして当該年度で示した知財積極的型の判断基準に基づき,ゴム材料メーカーである中小企業等AR社を選定し,このAR社の医療機器関連分野の参入をケースに本研究が提案する特許情報を起点に新規事業展開の方向性を探索するツールの検証を行った。具体的な研究内容については下記のとおりである。 知財経営積極的型の中小企業等を判断する基準は,次の3点から検討を行った。第1は「体力」である。技術開発等の実施状況,特許出願等の状況分析において,企業規模が一定の影響を与えているという現状を加味し,体力において重視する指標は,従業員数,資本金といった企業規模に関するものとした。第2は「やる気」である。本項目は,新規事業の展開に関する姿勢を検討するものであり,重視する指標は,①セミナーへの参加履歴,②研究会等への入会状況,③産学官連携の実績,④競争的資金の申請・獲得状況とした。第3は「知力」である。本項目は技術・製品開発力を検討するものであり,重視する指標は,特許出願状況とした。 次に対象とする中小企業等の特許情報と関連する特許情報を活用した新規事業展開領域の探索に関する手順を検討し,AR社に適用した。その結果,AR社が技術的強みを活かした新規事業展開の可能性のある潜在的市場を見出すことができ,当該年度において本手法の可能性を提示することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の大きな目的は,中小企業の新規事業への参入に対して,知的財産情報をマーケティング・ツールとして活用できる方法と有用性について,学術的および実践的に検証していくことである。 当該年度は,特許と事業性の関係性を明らかにしていく研究に重点を置いていく予定であった。分析,検証方法については軌道修正を行ったが,マーケティング的視点から特許と事業性を捉えていくマーケティング・ツールとしての可能性,有用性を示すことはできている。具体的には,中小企業等が本手法を活用することによって,新規事業展開を意識し始めた初期段階からマーケティングを意識するきっかけとなる。このことは中小企業等が抱える大きな課題であるマーケティング的思考の欠如を解決していくものとなる。 これまでの研究成果は,本来オープンな企業情報として利用価値の高いはずの特許情報がマーケティングと関連づけて有効に活用されていない現状に対して,先駆的な存在となる。
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今後の研究の推進方策 |
現在,研究内容および計画の大幅な変更は予定しておらず,研究課題申請内容と同様のスケジュールで本研究を展開していく予定である。本研究の目的である理論的検討と実践的検討を繰り返し,マーケテイング・ツールとして特許情報を積極的に活用して中小企業が独自に新規事業に参入できるよう支援していくことに関しては,今後も継続的に実施し,データ・情報等の収集を行っていく。 今後は,これまで行ったきた研究成果を統合し,社会実装に向けて力を入れていく。具体的にはコーディネータのヒアリング調査によって顕在化された中小企業等が持つ技術的強みをデータベースとして蓄積していくための方法,ノウハウを検討していくことである。そしてこの企業データベースとこれまでの研究で開発してきた特許情報を起点とした新規事業領域探索ツールと掛け合わせることを試み,より実践的な形へと発展させていく。そして企業内での事業化に向けて会話と実践を繰り返し行う「場」の構築を行い,実践を行っていく。本研究の最終的な狙いは,企業の選定,特許調査・分析,新規事業展開領域の見える化,社内での検討(場の構築),事業化に向けた動き,という一連の流れをパッケージ化することである。
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