研究課題/領域番号 |
21K01716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
大沼 雅也 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (30609946)
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研究分担者 |
久保田 達也 成城大学, 社会イノベーション学部, 准教授 (20634116)
積田 淳史 成城大学, 社会イノベーション学部, 准教授 (10635676)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | イノベーション / ユーザーイノベーション / 医療 / 産学連携 / 専門職 / 技術経営 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、高度な専門知識を有し、かつ、その分野の製品ユーザーである専門家ユーザーが、なぜイノベーションに関与するのかを検討する。この問題に関する既存研究の知見は限られているものの、専門家とユーザーの顔を合わせ待つ者がイノベーションの実現に果たす役割は時代と共に大きくなっている。そこで、我々は、既存研究に基づく理論的検討を基に、「医師」を対象とした大規模質問票調査を実施し、専門家ユーザーがイノベーションに関与するメカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、主として三つの作業を進めてきた。一つは、専門家ユーザーによるイノベーション活動への関与の背景を探るために、前年度に実施した質問票調査のデータ分析をさらに実施してきたことであり、もう一つは、そのデータ分析および解釈を進めるために、個人の創造的活動に対して、組織や制度に埋め込まれていることの影響に着目しながら、理論的な検討を行ってきたことである。そして最後に、それらの知見について、論文執筆と学会発表を行ってきたことがある。 一つ目のデータ分析については、特に、個人の関与が、周囲との相互作用によって影響を受ける可能性を検討してきた。具体的には、同僚効果やロールモデルの存在、キャリアに対する個人の志向性、組織的な支援などが、個人のイノベーション活動への取り組みに影響を与える因果について、データ分析を通じて検討を進めてきた。 二つ目の作業は、こうしたデータ分析から得られた知見を理論的に精緻化し、今後の研究の方向性を整理するために行ってきた。既存のユーザーイノベーション研究においては、ユーザー個人の属性や趣味としてのコミュニティ内における相互作用に着目したものが多かったが、専門職組織に所属し、特定の制度の中に組み込まれた専門職ユーザーについては、そうした属性だけでは、関与の背景を説明することができず、また専門職組織の内部では、コミュニティとは異なる論理が働いている可能性が明らかになってきた。それらの各要素を今後の研究に持ち込むために、アカデミック関与や専門職組織に関する理論的知見を参照し、整理を進めてきた。 最後の点は、成果発表に関するもので、具体的には、国際学会と論文というかたちで公表してきた。また、他にも査読誌に論文が一本採択され、次年度掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年度の作業は、やや遅れている。研究計画通りに質問票調査の分析作業および理論的検討を進め、一定の成果についても公表のための作業をすすめてきた。また、今後の研究の発展に向けて方向性を定めることができた。しかし、インタビュー調査による定性データによる裏付けや、より詳細な因果の解明に向けては、時間的な制約および調査先との調整がスムーズに進められず、十分に行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年となる本年度は、成果について国際学会で発表すると共に、昨年度十分に行えなかったインタビュー調査を集中的に実施し、定性的なアプローチから、イノベーションへの関与が生じるメカニズムについて、より詳細な仮説を構築して行くことを目指す。また、継続的な位置づけとなる研究課題につなげられるように、国内外において調査先の開拓を進めていく計画である。
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