研究課題/領域番号 |
21K01732
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
弘中 史子 中京大学, 総合政策学部, 教授 (10293812)
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研究分担者 |
寺澤 朝子 中部大学, 経営情報学部, 教授 (40273247)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 中小企業 / デジタル化 / 製造業 / IoT |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、日本の中小製造業がIoT活用を進展させるための方策を明らかにすることである。日本政府をはじめ世界各国が製造業のデジタル化を競って進めているが、日本が国際競争力を持つ自動車・情報家電・航空機部品等の産業では、サプライヤーである中小製造業のデジタル化が遅れており、大きな課題となっている。そこで本研究では、デジタル化の中でも中小企業が着手しやすいIoTに絞り、経営資源に制約のある中小企業に適用可能なモデルを構築する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は,次の2点を中心に研究を進めた。 第一に,本研究で依拠する理論として,令和4年度から既存研究の渉猟を行い,我々の研究課題への適応可能性を探ってきた組織的刷り込み理論について,本年度は実証研究との接合を視野に入れて,考察を深めた。 具体的には,組織創設時の敏感期において刷り込まれた行動様式が,時代を経て敏感期に入ったときに再び活性化する側面に着目した。行動様式としては,日本の製造業の強みを支えてきた5Sとカイゼン活動をとりあげた。また,IoTおよびデジタル化成功に必要なスキルとして,ムダの顕在化やムダの排除にも着目した。 第二に,日本の中小企業におけるIoTおよび製造現場のデジタル化の成功要因を探るため,日系中小企業のベトナム製造拠点で視察・聴き取りを行った。ベトナムでは新型コロナウィルス感染拡大後に人件費が大幅に上昇するとともに,ローカルの企業の技術力が向上し,ベトナム子会社は敏感期に入っていた。一方で,ベトナム人社長は,日本本社での勤務経験が長く,5Sの実施やカイゼン活動の実践的手法が刷り込まれていた。このような刷り込まれた行動様式が,敏感期に再び強化されており,さらにIoTやその他のデジタル化とうまく融合して大きな成果を上げていた。 日本の中小企業の海外子会社がIoTやデジタル化に成功した要因を,特に組織的施策を中心に探ることで,類似性のある日本の中小企業が応用できる可能性を提示することを意図して研究成果を論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度よりキャッチアップしつつあるものの,当初の研究計画時よりはやや遅れている。主たる要因は,研究開始時期に,新型コロナウィルス感染拡大危機による行動制限の影響で,生産現場に関する日本国内や海外での訪問調査が,想定通りに進まなかったことにある。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,日本の中小企業の海外子会社におけるIoTおよびデジタル化の進展を,刷り込み理論に依拠して研究を進めた。 令和6年度は,それらの研究をさらに深化させるべく,海外子会社によるIoTおよびデジタル化の進展が,中小企業の日本本社に与えた影響を中心に調査・分析を進めたい。日本本社が置かれている経営環境はベトナム子会社とは異なるものの,原材料・エネルギー費の高騰,カーボンニュートラルへの対応等が中小企業に与える影響が大きいことがこれまでの調査でわかっており,敏感期に入っていると考えられる。この敏感期に,何をどのように実施すればIoT・デジタル化を成功裏に実施することができるのかについて,まず「問題点の顕在化」「ムダの排除」「5Sの徹底」の実践スキルに着目したい。また,デジタル化によるカイゼン活動を実現する組織的施策についても探っていきたい。 今年度中に、組織的刷り込み理論のフレームワークをより精緻化し、日本と海外の製造拠点におけるIoT活用施策の進展を導く実践的手法と管理施策を明らかにするため,ベトナム以外の国での調査にも意欲的に取り組みたい。
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