研究課題/領域番号 |
21K01759
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
川端 庸子 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (60411683)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 越境EC / 国際マーケティング / 製品 / ブランド / オンライン / アリババ / 小売企業 / 日系中小企業 / 企業間関係 / 新型コロナウイルス感染症 / オンライン消費 / 日系小売業の国際展開 / 中国越境EC / 化粧品 / アイスタイル / 電子商取引 / オフライン |
研究開始時の研究の概要 |
越境ECの進展により、花王のような製造業も自ら直接消費者へ販売する国際的な小売販売まで行うようになり、資生堂においても戦略提携を行い開発・生産プロセスを見直すなど、以前とは異なる企業との提携や連携が行われ、企業間関係の変化がみられる。 本研究の目的は、越境ECの進展による国際化の展開への影響と、国内外の競争優位延長による企業間関係変化について理論的かつ実務的インプリケーションを導出することである。
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症(COVID 19)のパンデミックは人々の購買方法や決済方法などを含む生活様式の変革に大きな影響を与えた。一時的に国境を超えた人の移動は制限され、訪日来日者数は減少した。しかしながら、オンラインによる消費は高齢者においても増加している。さらに、越境ECの登場は、製造企業や小売企業において国際化の展開に新しい選択肢をあたえ、流通の国際化と競争力に影響を与えている。 本研究の目的は、越境ECが流通の国際化とその競争力の延長と拡大にどのような影響をあたえるのか、さらにオンラインとオフラインとの関係性について明らかにしていくことである。これまで、国内外における越境ECと流通の国際化についての先行研究レビューを行い、越境ECの歴史や現状および最新の理論について、また既存の流通の国際化の理論について整理した。今年度は、海外店舗を中心にインタビュー調査の予定であったが、研究方法を修正して、パンデミック下における国内外における消費や競争の変化および国際展開についての影響についても情報収集および調査協力を行いながら研究を進めた。 これまでの研究成果については、中央経済社より鳥羽達郎(富山大学)・川端庸子(埼玉大学)・佐々木保幸(関西大学)編著(2022)『日系小売企業の国際展開:日本型業態の挑戦』上梓した。同書では、「第1章 髙島屋」「第15章 日系企業の越境EC」として、また、坂爪浩史監修日本流通学会編(2023)『現代流通辞典(第3版)』に、研究成果をまとめ執筆した。そして、これまで研究で得た知見を活かして、さいたま市商業等振興審議会の委員を務めるとともに、社会へ広く発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID 19)のパンデミックにより、研究方法と研究の進め方を大幅に変更することを余儀なくされた。変更点と進捗状況は以下である。 本年度は昨年度に引き続き、越境ECと実店舗の連携に着目してインタビュー調査を実施する予定であった。 インタビュー調査はキリン堂、ミキハウスなどの企業であり本社のある関西方面へ事例収集とアイスタイル社の上海支社に加えて、上海以外の都市(広州や大連)でも行う予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID 19)のパンデミックにより出張を取りやめ、できる限りSkype・Zoom・メールなどのインターネットや電話を利用して代替調査を行った。また、国内外の学会にて研究成果発表を行う予定であったものも出張を取りやめることとした。国外研究員として所属していた英国リーズ大学などの研究者を招致して欧州の事例との比較について示唆を得る予定であったものの、パンデミック下において実現できなかった。 ただし、研究成果については、進捗が遅れているものの、中央経済社より鳥羽達郎(富山大学)・川端庸子(埼玉大学大学院)・佐々木保幸(関西大学)(2021)『日系小売企業の国際展開 :「日本型」業態の挑戦』に執筆し、編集作業を行った。このように基本的には予定していた研究方法で進めているものの、調査方法の変更と修正のため、当初の予定より遅れていることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究予定は、研究成果発表に加えて、事例の一般性と特殊性を整理するため、平成25年に国外研究員として所属していた英国リーズ大学などの研究者から欧州の事例との比較について示唆を得る予定であった。 また、昨年度に予定していた、越境ECと実店舗の連携に着目してインタビュー調査を実施する。研究途上で予定した以上に海外の追加調査が必要な場合は、経済的かつ効率的に研究を進めていく予定である。 一連の研究成果は、国内では日本商業学会や日本流通学会、海外ではAIBやCHARM (Conference on Historical Analysis and Research in Marketing)等で発表する。そこでのコメントを反映させた上で、International Journal of Business Strategy、International Journal of Global Business and Competitiveness、流通研究など国内外の学会誌に論考を投稿する予定である。 なお、実証に間に合わない場合は、合理的な根拠を示し、サンプルを限定するなどの対策を検討する。研究結果は、協力企業にフィードバックを行うとともにコメントを受け、日本の製造業・小売業の流通の国際化について理論的かつ実務的なインプリケーションを導出し、今後研究をさらに発展させていく方向性を明示したい。
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