研究課題/領域番号 |
21K01761
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 日本大学 (2023) 千葉商科大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
大平 進 日本大学, 商学部, 准教授 (30709001)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 産業財マーケティング / コーペティション / ネットワーク / サプライチェーン・レジリエンス / マーケティング / サプライチェーン・マネジメント / ネットワーク理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、競合企業との協業(コーペティションと呼ぶ)という視点からサプライチェーン・レジリエンスの戦略的側面に焦点を当てる。具体的には、買い手企業とその競合との間でなされる協力行動が、買い手企業のサプライチェーン・レジリエンス能力を高め、ひいては競争優位性獲得へとつながるメカニズムを明らかにしていく。本研究によって、サプライチェーン・レジリエンスの戦略的側面が示されれば、理論的貢献はもちろん、サプライチェーン・レジリエンスを責任やコストと捉える風潮を変え、我が国の企業の競争力向上に貢献できるものと期待される。
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研究実績の概要 |
本年度は、本調査の実施に向け主に文献による調査をおこない、仮の仮説モデルを構築した。そして、調査実施時期と方法について、調査協力者と打合せを重ね、サプライチェーン・マネジメントに関連した専門機関の関係者からも助言をいただきながら検討をおこなってきた。以下2点について、現状が把握できたため、調査時期を(当初予定していた)2023年度ではなく、2024年度に実施することが妥当と判断した。 1)日本の製造業企業では、コロナ禍の終焉にともなって需要は急激に回復しているものの、供給面では依然として混乱が続いており、木材や半導体をはじめとする原材料・部品の供給不足が続いている。企業はバックログを抱えており、サプライヤーとの関係は通常とは異なる状態が続いている。このような状況下で調査を実施したとしても、本研究課題を明らかにすることに困難が生じるため、適当な時期ではないと判断した。 2)本研究のテーマとする購買・調達におけるコーペティションについて、一部の企業では積極的に取り組まれているものの、多くの企業ではまったく取り組まれていないか、取り組まれていたとしても物流面でのコーペティションにとどまっている状況がわかった。系列企業あるいはグループ企業内の協業を広い意味でのコーペティションと位置付けるなど、何らかの軌道修正が必要であると考えるに至っている。 1)2)の実態を踏まえ、実際に購買責任者に対してインタビュー調査をおこなって、実現可能な仮説モデルを構築しなければならない。 また、上記の活動と並行して、本研究と関連したテーマで既にデータ収集と分析が完了している調査については、論文執筆を進めており、ほぼ完了する状況に至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では2023年度に本調査を実施する予定であった。「研究実績の概要」で詳しく述べた通り、日本製造業企業をとりまく現状を踏まえると、2023年度内に実施することは適当ではないと判断したため、実査時期が1年遅れている。具体的には、「供給面での混乱が続いており、調査を実施したとしても異常値により正しく仮説が検証できない」「購買のコーペティション活動の普及が思惑よりも進んでおらず、仮説モデルの修正を余儀なくされている」といった理由による。供給面の混乱については、すべて解消されたわけではないが、落ち着きを取り戻しているとの情報を得ている。2024年度に本調査を実施し、後れを挽回する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
5月以降に大手製造業企業の購買責任者に対して複数回インタービュー調査を実施する予定である。そこで得られた知見をもとに修正版仮説モデルを構築し、定量的な調査を通じて検証を行う。定量調査は、9月ごろに郵送によるアンケート調査を計画している。上場企業(1000社程度)の購買責任者を対象にアンケートを送付し、150~200サンプル程度の回収を見込んでいる。 仮説モデルの修正については、次の方策を考えている。サプライチェーンの混乱から「回復に至る速さや程度」の違いを従属変数に取り、コーペティションを含む様々な要因を独立変数として仮説検証するモデルや、サプライチェーンの混乱時に生じた特定の現象を従属変数とし、予防に効果のあった要因を独立変数とするモデルを検討する。また、コーペティションについては、「競合他社との協業」という限定的な概念ではなく、「(競合他社を含む)様々なステークホルダーとの協調志向性」など、広い概念でとらえるつもりである。いずれにせよ、現実的で柔軟な内容と方法を用いることで、本調査の早期実現可能性を高めたい。
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