研究課題/領域番号 |
21K01781
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
野間 幹晴 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (80347286)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | エンゲージメント / エンゲージメントファンド / 企業価値 / 社外取締役 / 退職給付に係る負債 / 財務政策 / ESGスコア / 実体的利益調整 / ライフサイクル / キャッシュフロー / リスクテイク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、次の5つの研究を行うことを計画している。第1に、長期的な日米企業のライフサイクルを明らかにすることである。第2に、メインバンクなどの間接金融や株式市場など、資本市場が日米企業のライフサイクルに対して与える影響に関する実証分析である。第3に、コーポレート・ガバナンスが日米企業のライフサイクルに対して与える影響に関する実証分析である。第4に、日米企業のライフサイクルとイノベーションの関連についての実証分析である。第5に、日米企業のライフサイクルと事業ポートフォリオやM&Aの関連についての実証分析である。
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研究実績の概要 |
2022年には、次の2つの研究を実施した。 第1に、従業員のエンゲージメントと企業価値の関連について実証分析を行った。最初に緊急事態宣言が発出された2020年4月7日をイベント日とするイベント・スタディを実施し、エンゲージメントと企業価値との関連について実証分析を行った。その結果、総合スコアと従業員エンゲージメントによってエンゲージメントを測定した場合、緊急事態宣言発出後に、エンゲージメントが高い企業は低い企業よりも株価が上昇する傾向が確認された。緊急事態宣言発出に伴い、企業ではリモートワークが導入された。従来とは異なる働き方であるため、エンゲージメントの高い企業では従業員の働いた成果が企業価値に結びついたのに対して、エンゲージメントの低い企業ではそうした効果は弱かったと解釈される。 第2に、エンゲージメントファンドと投資先企業との関連について実証分析を行った。本研究の結果は、スチュワードシップコードやコーポレートガバナンスコードの制定の根底にもある、企業の過少なリスクテイクに対する課題、および、機関投資家が価値向上に向けた企業活動を促す責任を負うべきという問題意識に対し、エンゲージメント型の投資が一つの解を提示しうる可能性を示唆している。また、エンゲージメント型投資を行うファンドにとって、2014年のスチュワードシップコードの導入等は、企業行動の変化を促し株式リターンを得るという観点で一つの転機になった可能性がある。その意味で、企業と投資家の対話の促進を通じ、市場の活性化を狙った近年の各種政策は、部分的かもしれないが目的に適った効果を得ているものと言えるであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度には新型コロナの影響により、思うように研究が進まなかったが、それでも2021年度には3本の論文を公表した。さらに2022年度には2本の論文を公表したことから、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には、これまでの研究成果をまとめることを計画している。 第1に、研究実績を研究書として公表することを計画している。 第2に、戦略策定と経営資源の流動性との関連について先行研究をレビューしたうえで、ライフサイクルとの関連について実証分析を実施し、論文を公表する予定である。
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