研究課題/領域番号 |
21K01790
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 中央大学 (2022) 東北学院大学 (2021) |
研究代表者 |
山口 朋泰 中央大学, 商学部, 教授 (50613626)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
|
キーワード | 四半期開示 / 財務報告の頻度 / 近視眼的行動 / 利益マネジメント / 実体的裁量行動 / 外国人投資家 / ショートターミズム / アクティビスト / 経済的帰結 / コーポレート・ガバナンス / コーポレートガバナンス・コード / 会計的裁量行動 / 保守主義会計 / 利益平準化行動 / 内部統制報告制度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では日本企業のガバナンス構造と実体的裁量行動の経済的帰結の関係を実証的に分析する。実体的裁量行動とは経営者が事業活動の操作を通じて利益を調整する行動である。当該行動には,株主の富を犠牲にして経営者自身の富を高める「機会主義的行動」,好業績を示して株価上昇や負債コスト低下など企業に便益をもたらす「効率的行動」,成長性を利害関係者に伝達する「情報提供的行動」がある。本研究では,強固なガバナンス体制では効率的・情報提供的な実体的裁量行動が増大するため企業に正の経済的帰結をもたらし,脆弱なガバナンス体制では機会主義的な実体的裁量行動が増大するため企業に負の経済的帰結を及ぼす,と予想して分析する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は,日本企業を対象に,企業のガバナンス構造と実体的裁量行動(事業活動を通じた利益マネジメント)の経済的帰結の関係を実証的に分析することである。具体的には,強固(脆弱)なガバナンス体制の下で実施された実体的裁量行動が将来業績に正(負)の影響を及ぼすか否かを検証することである。 本年度は株式所有構造が経営者の利益マネジメント行動にどのような影響を与えるかを分析する予定であったが,コーポレート・ガバナンスに関する文献を読んでいく中で,わが国においては「四半期開示を廃止すべきか否か」が喫緊の課題であることを知った。その背景には「四半期開示は投資家にタイムリーな情報を提供できる一方で,企業側にとっては報告書を作成するコストが高く,投資家や経営者の近視眼的行動を助長する可能性がある」ということがある。この喫緊の課題に取り組むため,当初の研究計画を変更し,四半期開示が経営者の近視眼的行動を助長するか否かを利益マネジメントの観点から調査することにした。 日本企業を対象に実証分析を行った結果,四半期開示は実体的裁量行動(事業活動を通じた利益マネジメント)の増加と関連していることが分かった。また,この関連性は外国人投資家の持株比率が高いほど強くなることも発見した。これらの発見事項は,四半期開示が近視眼的行動を誘発すること,それは株式市場からのプレッシャーが強い時に特に顕著になること,を示唆している。 当該年度は,この分析結果を論文として執筆している段階である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初研究計画から変更はあったが,企業経営者の実体的裁量行動を別の側面から明らかにすることができたため,「(2)おおむね順調に進展している。」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
経営者が利益を調整する行動には「実体的裁量行動」だけでなく,会計上の操作を通じた「会計的裁量行動」もあるため,会計的裁量行動が四半期開示から受ける影響についても分析し,経営者の利益マネジメント行動の研究を推進していきたい。
|