研究課題/領域番号 |
21K01798
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
威知 謙豪 中部大学, 経営情報学部, 准教授 (00517295)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 認識中止 / 認識の中止 / オフバランス化 / 金融資産 / リスク・経済価値アプローチ / 財務構成要素アプローチ / 証券化 / 特別目的事業体 / 消滅の認識 / オフバランス / リスク経済価値アプローチ |
研究開始時の研究の概要 |
企業会計基準委員会は、現在は一時的に中断しているが、2009年から2013年にかけて、金融資産の認識中止に関する会計基準の改訂に向けた検討を実施し、「財務構成要素アプローチ」から、「リスク・経済価値」と「支配」、「継続的関与」といった複数の考え方に基づく判断基準への差し替えを検討している。本研究では、今後、わが国会計基準設定主体や会計情報利用者・作成者が、金融資産の認識中止に関する会計基準の再検討を必要とした際の「拠り所」の1つとなることを目的として、「金融資産の認識中止に関する各会計基準の設定根拠」と「相違が生じることとなった原因」について、長期的・横断的な観点から検討する。
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研究実績の概要 |
本研究では、今後、わが国会計基準設定主体や会計情報利用者・作成者が、金融資産の認識中止に関する会計基準の再検討を必要とした際の「拠り所」の1つとなることを目的として、「金融資産の認識中止に関する各会計基準の設定根拠」と「相違が生じることとなった原因」について、長期的・横断的な観点から検討している。 本年度の研究成果として、威知謙豪. 2022a.「金融資産の認識中止に関するわが国会計基準の見直しに向けた検討内容の考察」『会計・監査ジャーナル』第801号、 2022年4月と、威知謙豪. 2022b.「IASC 金融商品プロジェクトにおける金融資産の認識中止に関する会計基準をめぐる初期の審議内容からみた『リスクと経済価値の移転』規準の提案根拠」『産業経済探求』、第5号、 2022年7月を公表した。 威知(2022a)は、企業会計基準委員会による金融資産の認識中止に関する会計基準の検討内容を整理し、約12年に渡り検討をしたが論点整理や公開草案の公表に至らなかった理由について、(1)金融資産の認識中止とSPE連結の両会計基準を同時に検討する必要があると考えられること、(2)FASBとIASBは金融資産の認識中止に関する会計基準のコンバージェンス・プロジェクトを中断し、IASBは従来基準を引き続き用いるという決定をしたこと、の2点にあることを指摘した。 威知(2022b)は、IASCが、金融資産の認識中止に関する会計基準の基礎となる考え方としてリスク・経済価値アプローチの採用を提案した根拠について、(1)「認識」の基礎となる考え方として「リスクと経済価値」を用い、これに対応させる形で「リスクと経済価値の移転」を認識中止の会計基準の基礎となる考え方としたこと、(2)「リスクと経済価値の移転」は、IASC 概念フレームワークと整合的であること、(3)「リスクの経済価値の移転」による認識中止規準は、金融機関に対する規制上の考え方と類似していること、の3点を指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると評価した理由は、(1)サブプライム危機以降の企業会計基準委員会による金融資産の認識中止をめぐる検討内容を整理し、約12年間の断続的な検討の結果、討議資料や公開草案の公表を断念することとした根拠について考察した研究成果を論文として公刊したこと、および、(2)以前より継続して収集してきたIASCの1980年代から1990年代の審議資料をもとに、IASC金融商品プロジェクト発足当初の期間を対象とした研究成果を論文として公刊できたためである。 現在は、(1)英国会計基準委員会(ASC)および英国会計基準審議会(ASB)による1980年代後半から1990年代中頃までに公表された金融資産の認識中止に関する会計基準の設定根拠、(2)国際会計基準審議会(IASB)による2000年代からサブプライム危機以前までの間の金融資産の認識中止に関する会計基準の検討内容、(3)サブプライム危機以後から現在までの米国財務会計基準審議会(FASB)による金融資産の認識中止に関する会計基準の設定根拠、(4)サブプライム危機以後から現在までの国際会計基準審議会(IASB)による金融資産の認識中止に関する会計基準の検討をめぐる動向、について研究を実施しており、これらの研究は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現在進めている上記(1)~(4)の研究を進める。なお、(1)と(2)についての研究は概ね完成に近づいていることから、(3)、(4)の研究に重点を置くこととなる。 さらに、公表済みの論文および上記(1)~(4)の研究成果を踏まえて、米国財務会計基準審議会(FASB)、英国会計基準委員会(ASC)、英国会計基準審議会(ASB)、国際会計基準委員会(IASC)、国際会計基準審議会(IASB)、企業会計基準審議会、企業会計基準委員会の各会計基準設定主体がこれまでに公表した基準書、公開草案、討議資料を「全部列挙」し、1980年代後半から現在(2022年)までの金融資産の認識中止に関するの設定の類型化とその変化の方向性を分析することを予定している。その他に、公表した論文、概ね完成に近づいている各論文を取りまとめた書籍の出版についても検討している。
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