研究課題/領域番号 |
21K01799
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
東田 明 名城大学, 経営学部, 教授 (50434866)
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研究分担者 |
金 宰弘 群馬大学, 情報学部, 准教授 (00803769)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | サステナビリティマネジメントコントロールシステム / パラドックス / 価値システム / 環境経営戦略 / 妥協 / エココントロール / マネジメントコントロールシステム / 環境経営 / サステナビリティ経営 / テンション / 正統性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,サステナビリティ課題に戦略として取り組む企業が,その戦略を遂行するためのマネジメントコントロールシステムについて考察することである。マネジメントコントロールには,結果の評価を重視するコントロールや組織の価値や信条の理解・普及を重視するコントロールなどいくつかのタイプが存在することが知られているが,組織がサステナビリティ課題に取り組む戦略的意図の違いによって,重視されるコントロールシステムは異なると考えられる。この戦略的志向性とマネジメントコントロールシステムの関係について明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年11月の日本社会関連会計学会にて,「環境業績指標と正当化ー気候変動問題に関わる複数価値間の妥協ー」と題して報告を行った。研究の背景として,気候変動に関わる社会の関心と企業への圧力が高まるにつれ,企業において温室効果ガス(GHG)削減への取り組みに関わってステイクホルダーから批判を受け,不協和が生じるかもしれない。しかしながら,正統性を維持するためには,GHG削減に取り組み続けなければならない。このような状況で,企業はどのように合意を見出し,パラドックスを維持しながらも気候変動の活動を社内で正当化しているかについて,会計(業績評価)が果たす役割を明らかにしようとした。ボルタンスキーとテヴノーの正当化の理論をフレームワークとして用い,インタビュー調査から得られたデータを分析した。その結果,企業は社会,株主・投資家などからカーボンニュートラルに向けたGHGの総量削減が要求されると同時に,社内では商業的,産業的,市民的,オピニオンの世界から総量削減目標に対する批判が生じる。この批判を回避して妥協を生み出す上で用いられるのが,原単位目標である。しかし,原単位目標を用いた妥協も安泰ではない。商業的,市民的,家庭的,オピニオンの世界から正当化されると同時に,家庭的世界から批判の対象となる。企業の気候変動に関わる業績指標としての総量と原単位という2つの業績指標に関わる考え方から,企業が単に正統性獲得のために社会からの要請に従って気候変動に対して活動しているのではなく,社内外の批判に応えながらも妥協を図り気候変動問題に取り組もうとしている様子が明らかになった。その妥協のプロセスで業績評価指標が重要な役割を果たしていることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染拡大の影響で,インタビュー調査の依頼を断られるケースもあったりしたが,最近は対応していただけるようになってきているので,最終年度はインタビュー調査を進めながら定性的なデータを集めて分析することを目指す。
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今後の研究の推進方策 |
第1に,質問票調査の分析を進める。特にサステナビリティマネジメントコントロールシステムのための情報システムとその利用に関するコントロールレバーとの関係を明らかにすることを目指す。 第2に,インタビュー調査を進め,サステナビリティ戦略遂行における様々なパラドックスと,それに対処するためのコントロールシステムについて検討することを目指す。 また上記の研究成果について,国内外の学会で報告する予定である。
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