研究課題/領域番号 |
21K01809
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
木村 晃久 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (80585753)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | リアル・エフェクト / 財務会計 / 優先株式 / 負債と資本の区分 / 政策保有株式 / 時価会計 / 企業行動 / 経営者行動 / 退職給付会計 / 数理計算上の差異 / 年金資産 / 情報開示 |
研究開始時の研究の概要 |
会計情報の測定・開示は,投資家の意思決定に影響を与えるとともに,企業の意思決定にも同時的に影響を与えることになる。この同時的な影響が「リアル・エフェクト」である。リアル・エフェクトは,企業行動そのものに影響を与えるから,企業が生み出すキャッシュフローに変化を生じさせる。これは,会計ルールの変化,つまり,会計情報が経済の資源配分にもたらす永続的で根源的な影響である。本研究では,会計情報開示のリアル・エフェクトを,日本の会計情報開示制度に従う企業のデータを用いた実証分析によって明らかにしたい。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、会計情報開示の「リアル・エフェクト」を実証的に明らかにすることである。会計情報の測定・開示は、投資家の意思決定に影響を与えるとともに、企業の意思決定にも同時的に影響を与えることになる。この同時的な影響がリアル・エフェクトである。リアル・エフェクトは、企業行動そのものに影響を与えるから、企業が生み出すキャッシュフローに変化を生じさせる。これは、会計ルールの変化、つまり、会計情報が経済の資源配分にもたらす永続的で根源的な影響である。 本年度は、個別の会計事象のうち、優先株式の発行に焦点を当てて、会計ルールのちがいが企業行動に与える影響について検証をおこなった昨年度の研究をまとめるとともに、新たに政策保有株式に焦点を当てた検証をおこなった。 前者については、優先株式をすべて「資本」として認識する日本の会計ルールに準拠して財務諸表を作成する上場企業は、普通株式の希薄化を避けつつ優先株式を「資本」として認識するために、それに金銭を対価とする取得請求権を付与するいっぽう、発行証券に負債性がある場合に「負債」として認識するIFRS適用企業は、優先株式が「負債」として認識されないように取得請求権をアレンジすることがわかった。この結果は、負債と資本の表示区分ルールにリアル・エフェクトがあることを示唆するものである。 後者については、時価会計の導入が、政策保有株式の縮減効果をもつか否かについて検証をおこなった。分析の結果、巷間での認識とは異なり、事業法人の多くにとって、時価会計の導入は、政策保有株式の縮減を進めさせるだけの効果をもっていなかったことが明らかとなった。これは、経済的に重要なリアル・エフェクトをもたない会計ルールの変化があることを示唆するものである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の大まかなスケジュールとしては、1つの会計事象に関するリアル・エフェクトについて、1年間で研究をまとめることを目標としていた。負債と資本の区分表示ルールのリアル・エフェクトについては、ディスカッション・ペーパーで刊行され、学術論文としても刊行されることが決定している。また、学術論文のかたちにはなっていないが、政策保有株式の時価評価のリアル・エフェクトについても、研究成果をカンファレンスで報告できたため、おおむね順調に進展しているといってよいだろう。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度カンファレンスで報告した政策保有株式の時価評価のリアル・エフェクトについて、学術論文としてまとめることになる。これについては投稿先が決まっている。また、次年度が最終年度であるため、一昨年度にカンファレンスで報告した退職給付会計に関するリアル・エフェクトの研究について、ブラッシュアップしたうえで海外ジャーナルへ投稿することを検討している。
|