研究課題/領域番号 |
21K01812
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山地 秀俊 神戸大学, 経営学研究科, 経営学研究科研究員 (40127410)
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研究分担者 |
後藤 雅敏 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70186899)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2021年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 会計保守主義 / fMRI / 自己保険 / 保守主義 / 複式簿記史 / プロスペクト理論 / エピジェネティック・ルール / ニューロアカウンティング / fMRI / 会計規範 / 脳実験 |
研究開始時の研究の概要 |
保守主義という特徴を持った利益計算を行う経営者の意思決定構造を、近年注目されている二つの保守主義を区別したうえで、改めて再度統一的にとらえる。そしてどのような心的特徴を持つ経営者が、どのような状況下で行う利益計算がどのような特徴を持つ保守主義的利益計算になるのかを、脳実験で得られた脳賦活部位を参照しながら脳科学的・心理学的に総合的に明確にしたい。
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研究実績の概要 |
人間の脳内でのデータの記録保管処理の延長線上に外部記録補完制度(会計制度)が試行錯誤的に長期的タイムスパンで出来上がるという発想が会計の脳実験的研究の基礎にある。保守主義会計もその発想で理解できる。すなわち費用は早めに認識計上し、収益はできるだけ遅めに認識計上するというのが会計保守主義であるが、その背後には、人間の脳が記憶の保存と処理に際して悪い驚きを良い驚きよりも無意識に重みをつけるという脳科学の発見がある。それは心理学のプロスペクト理論にも共通する。これがバス・ウェイマイアの保守主義理解である。 しかし我々はプロスペクト理論的発想と会計保守主義的発想は脳実験成果を基礎としたとき両者は異なっているのではないかと考える。バッドニュースがグッドニュースよりも早くに会計利益情報に反映されるのが会計保守主義というよりも、あくまでも同時期に付けられる費用と収益の重みの差を重視すべきと考える。そう考えたとき保守主義は費用計上と収益計上の重みの差である。そのことから保守主義会計の基本的思考は費用と収益のリスクに対する重みの差である。その発想の根拠は、自己保険の発想にある。収益に対するリスクよりも費用に対するリスクの方に脳内で重みが付される。その重みがリスクに対する自己保険の額の差として現れると考える。リスクを感じその重みをランク付ける脳部位を脳実験で探すことが我々の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2024年1月にアトランタで行われたAAAの会合で、保守主義会計の大家であるバス教授と議論する機会があった。そこでバス教授はあくまでもバッドニュースとグッドニュースの会計情報への反映スピードの差を強調されたが、我々はあくまでも費用と収益に対するリスク認識強弱にこそ保守主義の重要性があると考えた。そこで改めて脳実験の計画を練り直すことにしたために、遅れが生じたのである。
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今後の研究の推進方策 |
保守主義会計の脳実験の実施に際して、我々の発想である、費用のリスクと収益のリスクの重きの差こそが保守主義の基本であると考える。リスク評価の重きの差を脳内のどの部位が付与しているかを見定める。特に保守主義会計を自己保険と仮定して、実験を進める我々としては、リスクの大小を脳内のどの部位で反応しているかを確認したい。具体的には偏桃体やSPLが保守主義脳実験で見いだせるような実験計画を立てる必要がある。
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