研究課題/領域番号 |
21K01814
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
朴 恩芝 香川大学, 経済学部, 教授 (00345860)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 女性役員 / 社会関連投資 / TCFD / 経営者予想 / ESG / 基本的CSR / 財務行動とCSR / 気候変動財務情報(TCFD) / 気候変動リスク / 正確性 / 環境投資 / 持続可能性 / CSR |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は「社会関連投資と経営者予想の正確性に関する研究」を主題にし、社会関連投資を積極的に手掛ける企業は経営者予想の正確性が相対的に高いことを実証的に明らかにする。 社会関連投資に積極的な企業は、倫理的意識が強く正直であろうとするため、利益マネジメントを手掛けることが少ない。社会関連投資は一般的に本業とは別個の投資案件であるため、その成功についてある程度自信がなければ、ステークホルダーに対して当該社会関連投資の正当性を主張することができない。そのため、社会関連投資に積極的な企業は、倫理的に正直で、かつ投資の成果および将来の業績についても自信を持つため、正直な予測情報を発信しようとするはずである。
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研究実績の概要 |
本年度の研究成果は、二つの柱で展開している。 ひとつは企業の社会関連投資の一環として、人的資本をどれほど注目しているかについてで、女性役員の登用を対象とした。当該研究では、女性役員の登用と業績との関連を分析した。従来の、両関係を直接分析する方法ではなく、経営者による利益予想の正確性を用いたことが特徴である。単なる利益追求ではなく、サステナブルな社会を目指すESG 経営、なかでも人的資本を活用するとともに、女性役員を登用することで社会に貢献するという、経営者の意思を確認することにつながると考えるからである。研究では、「女性役員比率の高い企業ほど、経営者の利益予想は正確である」、さらに「女性役員比率を長期間にわたって増加させる企業ほど、経営者の利益予想は正確である」という仮説を立て、各々回帰分析を行った。結果として、女性役員を登用する企業の利益予想は正確であることが確かめられ、さらに長期的に女性役員比率を上げている企業には、ESG を意識した経営者の働きがあり、本来の利益に近い予想を出す方向性がみられた。なお、当該研究はプライム上場企業の一部企業を選定して行ったパイロット分析であり、方向性が見えたので、次年度にはサンプルをプライム市場全体に拡大して分析する予定である。 もう一つの研究は、本研究課題を拡張するものとして、気候変動に関する財務的影響に対応するTCFDに対する企業の行動について研究を進めている。本年度は理論的整理の一つとして、TCFDの持つ意義に関する論文を完成している。これを基に、次年度はより詳細なTCFD の重要性について展開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナの影響もあり、最初のところで、少し遅れがあったが、現在の段階では最終年度に向けた理論的・実証的準備ができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本年度の研究に基づき、以下の研究を予定している。一つは、女性役員関連研究である。本年度の研究はプライム上場企業の一部企業を選定して行ったパイロット分析であったが方向性が見えたので、サンプルをプライム市場全体または業種特性を確認するために拡大して分析する予定である。 次に、TCFD関連の研究である。これは、今後も具体的に進めていく主要テーマであり、今後TCFDの重要性について詳細に整理していく予定である。関連した実証分析は別のテーマとして挑戦する。
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