研究課題/領域番号 |
21K01817
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
壁谷 順之 長崎県立大学, 地域創造学部, 教授 (50588944)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 企業年金 / 退職給付会計 / 適格退職年金 / 厚生年金基金 / 確定拠出年金 / 中退共 / 会計基準変更 / 遅延認識 / 即時認識 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、企業年金や退職給付会計を取り巻く環境が急速に多様化している。本研究では、2012年3月末をもって廃止となった適格退職年金制度(適年)と、将来的に廃止が検討されている厚生年金基金制度に関して実証分析を行う。企業は、年金制度を廃止するか、あるいは他の企業年金制度に移行するのか、いずれかの選択行動となる。また、企業年金制度と退職給付会計制度の理論的枠組みとして、現在の制度詳細や現状分析、課題整理などの理論分析もあわせて行う。これらに関連した先行研究は国内外で行われているものの、この2つの企業年金制度の直接的な要因分析は数多くない。本研究では、長期的および総合的に要因分析を行う。
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研究実績の概要 |
2023年度は、本件最終年度に当たることから、これまでの研究に加えて総括も踏まえた研究を推進・整理に努めてきた。まず、1年目では厚生年金基金を中心とした制度移行や廃止について研究に取り組んできた。2年目では確定拠出年金(DC)と中退共の制度移行や廃止について研究に取り組んできた。これらは、制度・実証の両面から取り組んできたもので、特に中退共については近年、中小企業の退職給付制度が失われつつある実情を鑑み、3年目では実証分析の他に制度分析をさらに踏み込んで解明に取り組んできた。その結果概要については、次の3点に整理できる。第1点目は、中退共の運用資産状況に関するものである。第2点目は、中退共の制度設計上の柔軟性である。第3点目は、中退共は退職一時金支給のみの制度という点である。これまで、中退共に関する先行研究は、制度解説や実務書(会計処理など)がいくつか存在しているが、本稿で取り上げた内容や制度・実証分析は多くないと考えている。本稿によって、いくつか興味深い内容が得られたのはとても有意義に感じている。 近年、企業年金制度においては、DCを中心に年金ガバナンスの重要性が高まりつつある。DCはその制度上、事業主と加入者の双方に求められる目的や役割・責任が果たして忠実に実行されているのかを注視することが重要である。特に、金融知識や資産運用などに知識が不足する従業員たちも少なくないと推測できるため、十分な説明責任(アカウンタビリティ)を果たす姿勢が欠かせないと考える。中退共はDCとは異なる制度である一方で、確定拠出型(企業サイド)という点や加入規模(企業数、従業員数、運用資産額など)が増加傾向にある点などは共通している。大企業では退職給付制度が依然として継続する中で、中小企業ではこうした年金ガバナンス等を踏まえた存続意義が問われることに留意したい。
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