研究課題/領域番号 |
21K01829
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
伊藤 正隆 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (00706905)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 予算スラック / ポジティブな影響 / 上位管理者 / コントロール |
研究開始時の研究の概要 |
予算スラックは,多くの企業が採用する参加型予算管理における課題であり,予算管理研究における大きなテーマの一つである。 予算スラックは,伝統的に経営資源の非効率性をもたらすものとして否定的に評価されている一方で,近年では肯定的に評価する研究もみられる。しかし,予算スラックが組織にとってどのようなプラスの影響を及ぼすのか,あるいは上位者がそれを利用しようといかにコントロールするかに関しては不明な点も数多い。 そこで本研究では,①予算スラックが組織に及ぼすポジティブな影響,および②予算スラックの利用局面に対する上位者によるコントロールの内容,について理論的かつ実証的に解明することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は,予算スラックの形成に関して上位者に焦点を当て,(1)予算スラックが組織に及ぼすポジティブな影響,および(2)予算スラックの利用局面に対する上位者によるコントロールの内容,について理論的かつ実証的に解明することを目的としている。 上述の研究目的に対して,2022年度における実施計画は, 引き続きインタビュー調査を実施し,得られた結果から理論モデルを試論的に構築し,質問票調査等を実施する予定であった。また合わせて,予算スラックの利用局面に対する上位者によるコントロールの内容に関しても,インタビュー調査の内容を整理・明確化する予定であった。 上記の計画に対して,数件ほどインタビュー調査を実施している。インタビュー調査から,上位者によるコントロールの内容や予算スラックに対する印象,組織に及ぼすポジティブな影響などについて聞き出すことができている。そこからは,先行研究において述べられていたように,予算編成時において上位者が予算スラックの形成を看過しておらず,不要なスラックを削減していることや,反対に一部では容認しているなど,さまざまな形式のコントロールがみられた。また利用局面においても,金額基準によって稟議項目としてチェックが入ることや月次会議においてチェックが行われていることがわかった。一方で,予算スラックの組織に及ぼすポジティブな影響については具体的な話が聞けていない。 こうした調査結果を得ることができているが,コロナの影響が想定よりも長引いたことにより,前年度に引き続き十分な調査は実施できていない。そのため,成果の整理・分析が不十分であることから,研究成果の発表には至らなかった。 以上のように,研究成果の発表ができていない部分が本年度において反省すべき点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画に対して,2022年度においてはコロナ禍が想定以上に続いた影響により,予定したインタビュー調査が十分に実施できていない。いくつかのインタビュー調査を実施することはできていたが,コロナの波の影響でインタビュー調査の実施を延期または拒否される事例も相次いだ。これによりインタビュー調査から得られる予定であったデータを得ることができていない。結果的に,インタビュー調査の内容等をまとめた成果を学会等にて報告予定であったが,実際に公表するには至っていない。また,インタビュー調査を実施できなかったことで,理論モデルの構築および質問票調査の実施も延期している。理論モデルについては,先行研究などを参考に構築はしているが、インタビュー調査の成果を折り込むまではできていない。 以上から,当初の研究計画から予定した内容と比べると,現在までの達成度としては遅れていると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策としては,昨年度と同様に以下のことを予定している。 まず、インタビュー調査を実施する。新型コロナウイルスに関する世の中の考えも変化し,また5月頃より感染症法上の位置付けも変更予定であるため,積極的な調査を実施していく。また,対面式の調査のみならず,調査企業が可能であればオンライン会議なども利用して調査を実施する。こうした方策により,可能な限りインタビュー調査を実施し、データの蓄積を図る。 第二に、調査から得られた研究成果をまとめて学会で報告する。今後の調査より得られたデータをまとめ、成果として発表する予定である。ただし、調査の進捗状況次第では,次年度の学会へ延期したり,大学の紀要論文等で公表することに切り替えたりすることも考えている。 第三に、質問票調査実施の準備を進める。本研究の計画では、最終的に質問票調査を実施し、統計的実証分析を行う予定である。そのために、仮説(モデル)の設定、質問票の作成、対象者のリストアップなどを進める予定である。具体的には秋以降の実施を予定している。
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