研究課題/領域番号 |
21K01833
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
田中 洋子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (90202176)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
|
キーワード | 上乗せ支給 / ドイツ / ベーシック・インカム / 基礎保障 / 福祉 / 生活保障 / ジョブセンター / 求職者基礎保障 / パートタイム / ベーシックインカム / 社会政策 / ハルツ法 / 長期失業者 / パート / 家計 / 生計ミックス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はドイツで進んでいる雇用と社会保障の複合作用による生活の維持・安定機能に着目し、いかなる形の雇用・就業形態と社会保障制度が家計の中で組み合わされることによって実際に安定的な生計ミックスが作り出されるのかを解明するため、ドイツにおいて雇用収入が少ない時に政府から手当が支払われる上乗せ支給制度の運用に着目し、その生計ミックスの実態と政策の効果を現地調査によって明らかにしようとする。
|
研究実績の概要 |
昨年度は大きく三つの研究方法を使って研究を進めた。 第一に、インターネットを通じたドイツ人の上乗せ支給者および支給体験者を対象にして「ドイツにおける上乗せ支給調査」を実行した。3月からアンケート項目の準備とパイロット調査を行い、その後調整を繰り返して7月にはデータを集めることができた。この中で予想以上に多くの人々が支給から抜け出ていること、逆に言うと、支給と不支給の流動性が高いということがわかってきた。分析は現在も継続中である。 第二に、8月にドイツに行き、ヴィッテン市のジョブセンターの所長、チームリーダーおよび専門担当者五名から上乗せ支給者の生活・家族・仕事状況とその問題、ジョブセンターの取り組み方法について個別に聞き取り調査を実施した。また、上乗せ支給対象者本人にアプローチし、本人に対するインタビュー調査を複数人に対して行った。この中では、一方でかなり多様な形で上乗せ支給が行われていることがわかってきた。起業や学生、シングルマザー、外国人や難民など、さまざまな人々がこの制度の対象となっていることである。またそこにおいてスティグマが非常に大きくはなく、むしろ事務手続きの煩雑さが認識されていることがわかった。また、上乗せ支給者も参加するカップバウマルクトという福祉就労施設において、所長へのインタビュー調査を行った。これについては秋の社会政策学おいて、「ドイツにおけるベーシック・セキュリティ制度の実際の運用-セーフティーネットとしての生活+教育訓練支援とその限界」として報告し、フルペーパーとして発表した。今後投稿論文として整えていく予定である。第三に、ドイツ経済社会研究所前所長のハルトムート・ザイフェルト氏とともに、上乗せ支給者の数量分析を行うため、PASSパネルデータを入手し、今後どのような方法で分析を行うかに関して調整中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたアンケート調査が終了したこと、ドイツのジョブセンターでのインタビューおよび受給者へのインタビューが行えたこと、またこれについて学会報告フルペーパーが完成したこと、数量分析の準備が進んでいること、これらの点で研究は順調に進んでいると言える。ただし、渡航途中でコロナに罹患し、またその症状が軽くはなかったため、インタビューをズームに切り換え、本来もっと多くの受給者にインタビューを直接行う予定だったが、それが実現できなくなってしまった。この点については今年度にあらためて行っていきたい。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度取り組みたいことは、第一に、昨年度コロナのために実現できなくなったインタビューについてあらためて実施すること、第二に、学会に提出したフルペーパーをブラッシュアップして投稿すること、第三に、アンケート調査の分析を進めること、第四に、数量分析の共同研究を進めていくことである。そのために、ドイツに渡航して調査および研究打ち合わせを進めていきたい。
|