研究課題/領域番号 |
21K01842
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 東北文化学園大学 |
研究代表者 |
齊藤 綾美 東北文化学園大学, 現代社会学部, 教授 (70431484)
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研究分担者 |
松本 行真 近畿大学, 総合社会学部, 教授 (60455110)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 原発避難 / 復興 / 地域社会 / 共同性 / 双葉町 / 大熊町 / 復興祈念公園 / 帰還 / 住民組織 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、東京電力福島第一原子力発電所事故により、住民が長期避難を強いられた福島県双葉町と大熊町を主にとりあげる。2021年4月現在、両自治体は一部町民の帰還がようやくはじまった/はじまろうとしている局面にある。とはいえ、長期にわたる避難生活により、両町の「町民」意識や「共同性」は複雑化している。また様々な要因により「町民」の「復興」への関与も容易でない。本研究では地域社会学の立場から、帰還局面における、両自治体の帰還と「復興」を巡る課題、とくに「町民」と「復興」との関わりについて、「共同性」を鍵概念として実証的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
研究は当初計画より遅れ気味であるが、2022年度に引き続き2023年度も本調査を実施し、その一部を成果として発表した。具体的には2022年度から継続する①~③の作業と、計画にあった④~⑥の作業を行なった。すなわち、①先行研究その他文献資料を収集・読解しつつ論点整理、②対象地域に関する基礎データを収集しながら、原発避難者や帰還者・移住者による住民活動の布置を明らかにするとともに調査対象にウェイト付けをする、③調査票の修正・確定、④a双葉町の復興のフロントラインとなる地域における住民活動(神社祭礼、親睦活動等)の参与観察、④b住民活動関係者とくにキーパーソンへのヒアリング、⑤大熊町関係者へのヒアリング、⑥成果の一部とりまとめである。⑥については「第69回東北社会学会大会」で口頭報告した。この報告では避難指示が解除された地域社会における復興の課題について、祭礼再開、神社再建を事例として検討した。口頭報告での議論を踏まえて補足調査を実施し『東北都市学会研究年報』に投稿論文として投稿し査読結果を待っている段階である。この他、双葉町・大熊町の復興に関連する調査として、同じく原発避難をし先行解除された楢葉町の農業復興に関連する論文も発表した。 なお当初の計画にはなかったものの、必要があるために、⑦以下の対象者に詳細なヒアリングを行なった。すなわち、東日本大震災・原子力災害伝承館の語り部、原発避難や復興に関わる、楢葉町・富岡町・いわき市・川俣町関係者、首都圏で原発避難者を支援する団体関係者、環境省関係者、原発訴訟原告などである。 これらを行なう意義は、十分には研究されていない、原発避難地の「復興」の実際や住民活動の動向、避難者・帰還者・移住者の現状を明らかすることにある。それとともに、避難者・帰還者・移住者などが「復興」の課題をどう捉えているのかについて解明することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画よりやや遅れている。その理由は主に2つある。第一に、新型コロナの流行による対面での住民活動の停滞の影響が残っており、住民や関係者の活動が停滞していたからである。年度途中で活動が回復してきたものの、以前に比べて不活発であるために観察の機会が減少し、ヒアリングを頻繁に実施することが容易ではなかったからである。そのため、当初計画より遅れて調査が進み、成果の発表も遅れている。 第二に、本務の役職が増え、研究活動にかける時間が当初計画より減ったためである。この点については、2024年度より業務・研究の効率化を図り対処する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
双葉町に関していえば調査が比較的順調に進んでいるものの、大熊町関係者へのヒアリングが計画当初に考えていたほど進んでいない。そのため、大熊町に関する調査全般が滞り気味である。大熊町については調査方法について再検討したうえで、ヒアリングを進める。一つの方策としては会津に住む大熊町関係者に接触する予定である。町の復興に関する計画や情報については、メディアや町の公的資料も参考になるため、それらを活用し復興への住民参加の動向を引き続き探りたい。 研究成果のとりまとめが進んでいないため、収集したデータを精査し、かつ補足調査を行なうことで早急に論文化する予定である。また、複数の論文をとりまとめて報告書を作成し、刊行する。 双葉町については、これまでに得たネットワークを活用し、復興への避難者・帰還者・移住者の関与や、共同的な活動へのそれぞれのアプローチを含めてさらに検討していく。
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