研究課題/領域番号 |
21K01854
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
永井 彰 東北大学, 文学研究科, 教授 (90207960)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 地域ケア / 地域社会学 / 地域自治 / 地域福祉 / 地域社会再編 / 被災者支援 / 地域生活支援 / 東日本大震災 / 地域ケア・システム |
研究開始時の研究の概要 |
東日本大震災からの生活再建期における地域社会の現状と課題を、津波被災地(その周辺部の移転地を含む)を対象に、地域ケア・システムの構築(=支援を必要とする人が住み続けられる地域社会の形成)という観点から分析する。 本研究は、津波被災地における地域ケア・システムの現状と課題を個別事例にそくして具体的に解明することで、東日本大震災をテーマとする地域社会学や福祉社会学の進展に寄与するとともに、当該地域における地域ケア・システムの成熟に貢献することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、生活再建期における東日本大震災被災地の地域社会の現状と課題を、地域ケア・システムの構築(=支援を必要とする人が住み続けられる地域社会の形成)という観点から分析する。本研究では、個々の対象地(基礎自治体)について、現地調査にもとづいた分析をおこなう。東日本大震災被災地における地域ケア・システムは、被災者生活支援にかかわる事業の実施によるさまざまな制度的・財政的支援を背景として形成されてきた。そのため2023年度時点において各地では、復興期間後を見据えた対応が迫られている。本年度は、宮城県気仙沼市、南三陸町、岩手県陸前高田市などで調査研究を継続し、南三陸町の事例について分析をおこなった。南三陸町の被災者生活支援事業の特徴は、事業開始当初から事業終了後を見据えて事業を構想し、それを実施したことだった。その典型例が、120人規模の支援員を一般住民から雇用したことであった。それは、一般住民が地域福祉の実務経験者となり、そうしたひとびとが復興後地場企業に戻っていくことで、住民主体の地域福祉の推進につながるという見通しだった。しかし、実際に南三陸町で生じたことは、それだけではなかった。支援員経験者のなかの精鋭が生活支援コーディネーターやLSAとして雇用されるようになり、社会福祉協議会で地域福祉を担う中核的職員となった。これは、支援員の事業があったからこそ実現できたことだった。南三陸町の現在の課題は、復興事業終了後の地域福祉体制をどのようにして維持するかである。具体的には、現在の社会福祉協議会の地域福祉スタッフをできるかぎり雇用したいということである。その方策について、2023年度時点では、重層的支援体制整備事業の活用が検討されており、事業の導入は確実視されている。しかし、この事業だけでは、現在のスタッフすべてを雇用することができず、この事態への対応が課題として残されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、個々の対象地(基礎自治体)について、現地調査にもとづいた分析をおこなうが、新型コロナ感染症の流行のため2022年度までは十分な現地調査が困難であった。2023年度になり、細心の注意を払ったうえでの調査が部分的には許容されるようになり、研究の遅れを取り戻しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
現在でも福祉・保健関連部署では感染症への警戒が強く、また業務の繁忙も続いていることから、調査環境が新型コロナ感染症の感染拡大以前の状況に戻ったわけではないが、それでも現地調査が可能な状況にはなりつつあるので、調査対象機関等に最大限の配慮をおこないつつ、現地調査を遂行することにする。
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