研究課題/領域番号 |
21K01881
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
浦野 茂 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (80347830)
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研究分担者 |
喜多 加実代 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (30272743)
早川 正祐 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任准教授 (60587765)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 病識 / 認識的不正義 / 精神医療 / 概念分析 / エスノメソドロジー / 精神障害 |
研究開始時の研究の概要 |
現在の日本の精神医療は、精神障害当事者の意思と価値に基づく支援・治療・研究開発の意義が認められつつあるが、その実現にとって多くの障壁が残されている。数あるこうした障壁のうち、本研究は精神医療にそなわる認識方法である病識評価に着目し、これが精神障害の経験を理解し表現するための概念的資源を構造化し、制約してきた状況を解明する。解明の対象には、戦後から現在までの日本の主要精神医学雑誌記事と当事者による手記を設定し、その叙述における関連概念の用法を分析する。これを通じて本研究は、精神障害の経験を理解し表現するための既存の概念的資源にそなわる倫理的問題を明らかにし、その改良に向けた提言を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、精神医療とその周辺領域における認識的不正義の問題を検討することである。具体的には、障害をもつ当事者による手記や語りとそれに対する論評を検討の題材とし、精神障害の経験を理解し表現するための概念的資源のあり様とその倫理的問題を特定することを目指している。この目的にもとづき、2023年度には次の研究を進めた。 (1)精神障害の当事者による言説と人文社会科学言説の検討:精神障害をもつ当事者による手記と、それに対する人文社会科学による論評を対象に、検討を行った。とりわけ検討を行ったのは、精神医学の診断概念に依拠した当事者の言説と、それに対する人文社会学による論評である。結果、専門的概念の使用権限の非対称な分配に起因する認識的・倫理的問題を確認した。診断概念のような専門的概念はその概念の使用権限が非対称に配分されている。したがってこれに依拠しながら当事者が構成する言説は、外的な要素に影響を受け、したがって真実性を欠いたものとして受け止められる可能性がある。この点を確認した。 (2)精神医療現場における語りの組織化の検討:精神医療の現場において、障害をめぐる語りの相互行為的組織化について検討を行った。具体的には、地域精神医療を提供する精神医療チームにおけるカンファレンスと、同じく地域精神医療における医療チームと患者、家族によるケアミーティングを題材に、精神障害に関わる経験の語りがどのような相互行為のなかで組織されているのかを検討した。これを通じ、当事者の参加と発言を保障するミーティングの相互行為的組織方法について、考察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
資料の分析・検討の作業については順調に進めてきたものの、病気治療のために作業の中断を余儀なくされたため。
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今後の研究の推進方策 |
資料の分析・検討の作業を再開し、研究のとりまとめを行う。
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