研究課題/領域番号 |
21K01888
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
上林 千恵子 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (30255202)
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研究分担者 |
塚崎 裕子 大正大学, 社会共生学部, 教授 (70334638)
眞住 優助 金沢大学, GS教育系, 講師 (50747582)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 日系ブラジル人 / 外国人技能実習生 / 自治体の外国人向け施策 / 製造業の外国人労働者 / 高齢化地域 / 製造業の人材確保 / 自治体の多文化共生政策 / 自治体の外国人雇用施策 / 日系人 / 職業キャリア / 外国人統合政策 |
研究開始時の研究の概要 |
日本海側に位置するいくつかの諸都市では、地域の産業振興のために企業誘致を実施し、地元の雇用創出を行ってきた。しかし近年は人口減少により、誘致企業は地元採用の労働力だけでは不足し、新たな労働力として日系ブラジル人を注目するに至った。しかし、これらの地域ではこれまで外国人労働者を受け入れた経験に乏しく、彼らの地域社会への統合のために自治体施策による支援が求められている。 また高齢化が進む過疎地でも、若年人口の不足から地域内労働力を技能実習生に依存するに至った。こうした人口高齢化地域の外国人労働者の雇用実態と、自治体の支援政策、および地域住民の外国人労働者に対する意識を考察する。
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研究実績の概要 |
2022年度は北海道東川町と旭川市、および島根県出雲市への調査を実施した。北海道は人口減少地域であり、高齢化と若年者不足から外国人労働力への依存を高めている。東川町は、町立の日本語学校を設立し、留学生を集めて町の活性化を図ってきた。留学生は、①町立で授業料が比較的安価であること、②東川町周辺の農家、近隣の旭川市でのアルバイト先が確保できること、の2つの要因で日本語学校を選択した。また東川町が財政的に援助をしている私立の日本語学校および福祉専門学校でも留学生を受け入れている。福祉専門学校は当初、日本人介護士養成のために設立されたが、学生数の充足率低下のため留学生受け入れに経営方針を転換した。 北海道のような人口過疎地の外国人労働者雇用は、本州在住の日系人にみられるような、大規模受け入れ企業がなく、外国人コミュニティは未形成であった。また賃金の低さもあって外国人労働者の道内定着が難しい傾向にある。これは労働移動の権利を有する特定技能外国人に顕著にみられる特徴であり、外国人労働者の受け入れを永続的に継続しない限り、地域活性化に結び付かない難しさがあった。 島根県出雲市はコロナ以前の2019年に調査した後の、再調査である。この間、2022年10月以降、大手電子部品メーカー日系人請負労働者の雇止めが行われ、出雲市のブラジル国籍者の人口は2022年3月の3,563人から2023年3月の3,035人とほぼ500人が減少した。出雲市の日系人の定住化は現時点で進行中であるものの、1年間での15%の人口が市外へ流出したという事実は、日系人の地域間移動は現時点でも少なくないことが判明した。出雲市では、ハローワークと協力して定住外国人向けの職業訓練と職業紹介フェアを実施し、日系人の雇用促進策を実施した。こうした自治体施策により外国人住民の定住化は他の地域より進展しているといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年間の調査を通じて、科研メンバーの論文執筆のテーマがほぼ決定した。その内容は、① 大手製造業の外国人雇用へのニーズと自治体施策 ② 外国人技能実習生と中小企業 ③ 外国人労働者の国内移動 ④ 請負労働者としての日系ブラジル人の雇用と生活、になった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は最終年であり、調査実施予算を組んでいないので、各人のテーマを論文執筆に結びつけて、適宜、研究会で報告する予定である。その後、論文を集めた報告書を作成予定である。予算が余った場合は、補充調査を実施する。
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