研究課題/領域番号 |
21K01894
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
M・R・D Carlos 龍谷大学, 国際学部, 教授 (90335414)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | フィリピン人教師の国際移動 / 多段階的国際移動 / 東南アジア地域内移動 / 日本のフィリピン人英語教師 / ベトナム / ミャンマー / フィリピン人英語教師 / 在留フィリピン人 / 外国人の退職後の居住地選択 / コロナ禍 / フィリピン人の国際移動 / Philippine migration / English Teachers / Stepwise Migration / Southeast Asia / Japan |
研究開始時の研究の概要 |
This research is an empirical study on the migration behavior of Filipino teachers in Japan, Thailand, Myanmar and Vietnam. It specifically looks at the labor market conditions and policies in the destinations and the teachers' choice of destination within the framework of international stepwise migration and south-south/south-north migration. 本研究は東南アジア3カ国(タイ、ベトナム、ミャンマー)と日本で働いているフィリピン人教師 を中心とした移動戦略の実証分析である。
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研究実績の概要 |
本年度の主な研究成果は以下の通りである。 (1)日本、ベトナムとミャンマーで働くフィリピン人教師の共通点は、①海外就労への最も大きなモチベーションは母国フィリピンとの賃金格差、②教員になるためのスキルを大学で学んでいなかった、③現地のことばが話せないことは逆にこの三カ国においては有利だと考えている、④雇用形態は「派遣」または1年間契約、⑤外国人教師としての満足度が高いなどである。一方、彼らの主に異なっている点は、海外就労の経路と在留資格、仕事の範囲、多段階的移動に対する考え、そして、コロナ禍の経済的影響などである。とりわけ、コロナ禍に関連して、日本で働くフィリピン人教師は、東南アジアでのカウンターパートやほかの職種に就いている在日フィリピン人に比べて経済的影響は少なく、また、短期間であった。一方、ベトナムやミャンマーでは、雇い止めや派遣切り、雇用者に見捨てられ帰国せざるを得ない人や困窮に陥った人たちも多く見られた。 (2)研究代表者の以前の看護師の国際移動の研究では、多段階的移動を促す要因は次の就労先のより高い収入、キャリアー形成の可能性、受け入れ国の移民政策であった。本研究でこれらの要因に加えて、教師として同僚と学生に尊敬され認められることや職場での良い人間関係、そして、コロナ禍のような災害時の経済的安定が現在の就労先から次の就労国を目指すかどうかの重要な決定要因であることがわかった。これらを総合して日本は必ずしも彼らが望む最終目的地となっていない可能性がある。 以上を踏まえて日本をはじめこれらの受け入れ国はポストコロナ時代においてフィリピン人教師、さらに外国人労働者にとってより魅力的な就労先となるためにどのような制度や政策が必要か、そして、フィリピン国内そのものが現在の国内教員不足問題をどう解消できるかの対応策を本研究で今後考える必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 本研究では、東南アジアでのフィールドワーク調査が主な活動となっているが、コロナ禍によって現地訪問が困難となったため実施はやや遅れている。2022年度にできなかったタイまたはブルネイに関しては現地での受け入れ状況を含めて実現可能な国でフィールドワークを2023年に実施する。また、2023年度には4名の研究協力者に力を借りてフィールドワーク・データ収集と結果分析、論文の執筆と本テーマに関する国際シンポジウム企画を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍は国際労働移動において大きな転換期を形成するきっかけとなり、受け入れ国・送り出し国双方の国際移動関連政策と人的資源(教育)政策だけでなく、外国人教師自身の行動パターンに対しても大きな影響を与えていると考えられる。従って、2023年度には以下の2つのテーマを中心に研究を進めていく。 (1)受け入れ国日本、ベトナム、ミャンマー、およびタイもしくはブルネイの一国でのポストコロナにおける外国人教師受け入れ政策の現状把握 (2)コロナ禍中とその後(ポストコロナ)のフィリピン人教師の国際移動行動、とりわけ彼らの多段階的移動行動と受け入れ先の選択、に関して何が影響しているのかについてのより厳密な考察。 2023年度には4名の協力研究者(承諾済み)と連携して、今まで収集したデータの整理と分析、フィリピン、タイもしくはブルネイでのインタビュー・フィールドワークを行い、国際シンポジウムや国際学会での発表および論文執筆に力を入れる。なお、コロナ感染の状況や協力研究者との日程調整によって本プロジェクトの今年度の完成が困難になった場合、一年延長することも考えている。
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