研究課題/領域番号 |
21K01895
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 神戸女学院大学 |
研究代表者 |
戸江 哲理 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (10723968)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 子育て支援 / 会話分析 / エスノメソドロジー / 家族社会学 / フィールドワーク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は,「子育てを社会全体で支える」という子育ての社会化の理念が,日々の営みのなかでどのように実現されているのかを解明することである。具体的には,子育て支援の現場でスタッフと母親が,他人の子どもに対してどのように接しているのかを検討する予定である。本研究は,参与観察やインタビューなどもふくめた,長期間のフィールドワークにもとづく会話分析という方法論によって,この目的を達成しようとする。
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研究実績の概要 |
今年度中に出版された著作の1つ目は、松木洋人・中西泰子・本多真隆編『基礎からわかる社会学研究法――具体例で学ぶ研究の進めかた』に収められた「会話分析でやりとりからフィールドを描き出す」である。本書はタイトルからも察せられるように、初学者が何らかのデータにもとづいて社会学の研究を進める方法を、具体例を交えて平易に説いた入門書である。紹介される研究手法は、質的なデータを扱うもの、量的なデータを扱うもの、そして資料を扱うものの3種類に大別され、私は質的なデータにもとづく研究法のひとつとして、この章を執筆した。そこで私は、会話分析の基本的な発想と一般的な研究の手順を説明したうえで、子育てひろばでのフィールドワークにもとづく会話分析的な研究からの具体例を検討し、やりとりのしくみからそのフィールド固有の特質(「らしさ」)を剔出する道筋を示した。 2つ目の著作は、日本家族社会学会編『家族社会学事典』に寄稿した「エスノメソドロジー・会話分析」の項目である。多数の学会員が協力して、広範な論点をそれぞれコンパクトに整理した、大部の事典となっている。先の項目は、「家族社会学の理論・アプローチ」の部門に収められている。見開き2ページのなかで、欧米での研究、国内での1990年代・2000年代の研究、そして国内での2010年代以降の研究と、3つのセクションに分けて、これまでの研究の蓄積について概説した。 前者は教科書、後者は事典であり、これから(家族)社会学的な研究に取り組もうとする人々に広く読まれることが想定されるものである。このような出版物において、(本研究課題もその一例であるような)エスノメソドロジー・会話分析にもとづく(家族社会学的な)研究が紹介されたことは、今後の研究の発展に向けて大きな意義があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
刊行された2点の著作は、一方は教科書、他方は事典への寄稿であるが、そのような刊行物で、(本研究課題がそこに連なる)子育てひろばでのフィールドワークにもとづく会話分析的な研究(の成果)を紹介する機会を得たことの意義は大きいと考えている。また調査の面では、子育てひろばでのフィールドワークを再開できる環境がようやく整ったことも昨年度までとの大きな違いである。さらに、収録済みのビデオデータを整理する作業も、昨年度から引き続き進めている。以上から、今年度はそれなりの進展があったと評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は子育てひろばでのフィールドワークを昨年度以上の頻度で実施するとともに、6月の国際エスノメソドロジー・会話分析学会(韓国・ソウル)にて、本研究課題の成果を発表することにしている。
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