研究課題/領域番号 |
21K01910
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
永野 由紀子 専修大学, 人間科学部, 教授 (30237549)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 東南アジア / 東アジア / 家族 / 村落 / バリ島 / インドネシア / イエ / ムラ / 社会学 / ヒンドゥー / 親族 / 農村 / 屋敷地 / アジア |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本とインドネシアの家族と村落を比較して、類似性と異質性を明らかにする歴史社会学的研究である。日本のイエは、女性の地位が低いため、東アジア父系社会との類似性に目が向けられてきた。近年の家族研究は、東アジアより東南アジア双系社会との類似性に着目する。だが、社会機構の中での家族・親族関係の機能と関連づけた分析が十分とはいえない。本研究は、生活保障の機能に視点を据えて、日本村落のイエ・ムラとインドネシア村落の家族圏・社会的ネットワークを対比する。日本の村落研究に欠けていた比較の視点と変動の視点を導入してイエ・ムラ論を再構築し、アジアの家族と村落の総合研究に貢献できると考える。
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研究実績の概要 |
本年度は、東南アジアと東アジアの家族と農村コミュニティに関する統計資料や文献の収集を継続すると同時に、日本の農村の現地調査を実施した。以下のことが明らかにされた。 1.東南アジア・東アジアの家族と農村コミュニティについて (1)東北アジアと東南アジアを二分するエリア概念をとらえ返す先行研究を分析した。(2)エリア・スタディズの研究の中で、狭義の東アジア(儒教文化圏の東北アジア)と東南アジアを包括する広義の「東アジア」というエリア概念が提示されている。(3)近年のジェンダー史研究の中で、アジア諸社会の基層にある親族構造の違いに着目し、双系的傾向が強い日本社会を広義の「東南アジア」 に位置づける見解が示されている。(4)ベトナムの家族と農村は、東北アジアと東南アジアをつなぐ重要な環である。北部ベトナム村落のゾンホは、父系的傾向の強い親族集団である。だが、村内組織である点で、中国の宗族と異なる。(5)バリ・ヒンドゥーのダディアと屋敷地共住集団は、東北タイの屋敷地共住集団との比較だけでなく、ベトナム村落のゾンホや屋敷地共住集団との比較においても、その固有性と類似性を示しうる。(6)日本の村落の生活単位であるイエとムラは、狭義の東アジアや東南アジアに限定することなく、広義の「東アジア」のなかに位置づけることで、その固有性と類似性を示すことができる。 2.日本の村落について (1)農事組合法人の構成員は、農業雇用労働者というより農家である。(2)集落営農組織を、企業的な経営体や農業団体とはいえない。だが、農家(イエ)連合としての集落(ムラ)が果たしてきた協議や利害調整や合意形成の場ともいえない。農事組合法人は、農家連合とは異なる組織体としての維持存続が要請されている。(3)集落営農組織も農事組合法人も、個別農家と同様、担い手不足のため維持存続が困難な局面を迎えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究テーマに関する文献資料の収集および研究成果の公表を機会に研究交流が進展し、社会学に限定することなく歴史学をはじめとする隣接分野の最新の研究成果に触れることができた。
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今後の研究の推進方策 |
アジアの諸社会についての近年の研究成果についてのあらたな知見を得て、アジア諸社会のエリア・スタディズ・比較家族・比較村落に関する研究者との研究交流を図る。本年度の国内の現地調査の結果をふまえて、補充調査を実施する。海外の関連諸機関での文献・資料の収集をこれまで以上に進め、海外の研究者との研究交流をとおして研究課題についての理解を深める。研究の最終年度として、これまでの研究成果をまとめる。
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