研究課題/領域番号 |
21K01918
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
桝本 智子 関西大学, 外国語学部, 教授 (00337750)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | マンハッタン計画記念歴史公園 / 原爆 / 集合的記憶 / マンハッタン計画歴史記念公園 / マンハッタン計画 / 記念式典 / 国立歴史公園 |
研究開始時の研究の概要 |
マンハッタン計画歴史記念公園が設立してから実質4年が経過するが、国立公園局が作成した「基本文書」と実際に表象されているものを比較しながら、インタビュー調査から集合的記憶の形成の過程を分析していく。原爆に対する認識が、戦後75年を経てどのように 変化をしているのかを調査する。海外原爆展を主催している関係機関や原爆実験ミュージアムへの調査を行うことで、原爆展開催の決定のいきさつ、受け入れ態勢、地元や参加者の反応を分析する。そして、どのような状態での受け入れが実現可能なのかを考察し、マンハッタン計画国立歴史公園が次世代に伝える物語に人類への教訓をどのように入れることができるのかを検証していく。
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研究実績の概要 |
原子爆弾の実験地であるトリニティサイトでの現地調査を行った。毎年語り部として参加をしている地元の歴史家、ロスアラモス歴史協会のツアーを引率しているボランティア、核兵器関連施設を訪問している参加者、トリニティ実験に家族が参加していた人々などから話を聞くことができた。原子爆弾実験による被爆者の団体の活動も目立つものがあった。 現地調査で知り合ったロスアラモス歴史協会でトリニティツアーを企画し、引率しているボランティアをインタビューすることができた。ツアー企画当初はマンハッタン計画の関係者が多く参加していたが、近年はさまざまな関心を持って参加していることがわかった。マンハッタン計画を後世に伝える活動に力を入れているロスアラモス歴史協会は館長やスタッフが入れ替わっており、インタビュー調査を実施した。映画「オッペンハイマー」により、ロスアラモスへの訪問客が数倍増えていることがわかった。展示物やミュージアムショップで販売されるものにも映画に関連するものが見られ、変化が確認された。 マンハッタン計画国立歴史公園の案内所は週に数日しか開いておらず、また、実際のマンハッタン計画の実験所などは現在も政府の機密場所として一般には開放されていない。歴史公園を目的に訪問した人々は実質、ロスアラモス歴史協会とブラッドベリー科学ミュージアムを訪れる流れになっている。 マンハッタン計画国立歴史公園のレンジャーからは、原子爆弾開発やトリニティサイト実験に関する質問が増えていることがわかった。歴史や施設に関連する質問に関しては詳しい説明がされているが、原子爆弾の被害やヒロシマ、ナガサキ、に関する質問は殆どないことから、敢えて説明などはしないとのことであった。マンハッタン計画国立歴史公園設立計画書にある、原爆がもたらしたものについても言及していくことや、地元の協力団体との連携が取れていないことも判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パンデミックによる渡航制限のため現地での調査ができない期間が2年以上続いので、その遅れが研究計画に影響をしている。2023度より状況をみながら現地調査を再開している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画では全米の各マンハッタン計画国立歴史公園での現地調査を予定していたが、パンデミックにより2年以上の遅れが生じた。2023年度から現地調査を再開しているが、パンデミック中は現地のミュージアムも一時閉館するなど影響が出ていた。一方で、オッペンハイマーを主人公とするハリウッド映画の効果によりロスアラモスや原爆への関心が以前にも増していることがわかった。延長期間を利用し、マンハッタン計画国立歴史公園を訪問する人々の変化や2025年度に開催される原爆に関する展示を予定しているスミソニアン航空博物館に注目し、現地調査をする予定である。
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